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272.彼らの技術は重要だ

 その後、主にミンミカの案内でいくつかの草食系や雑食系の集落を回った。多分、十日くらいはかかってると思う。


「よろしくおねがいします、コータさま!」

「できるだけのことは頑張るよ。そのかわり、力を貸してくれな」

「はい!」


 中でもものすごくこじんまりしたネズミ獣人の集落では、俺が顔を見せた途端大歓迎を受けた。今の俺とそんなに身長の変わらない大人たちがとっても嬉しそうに、俺の配下になることを承諾してくれて。

 何でかな、と思っていたんだがふと、シーラの言葉で思い出した。


「ネズミ獣人といえば、どこぞの街で墓守をしておりましたね」

「ああ、いたなあ。結局、直接は会えなかったけど」

「我らは、人の多い街ではあまり扱いがよろしくないのです……それでも、夢を見て出ていく者もおりますがね」


 身体が小さめだからあまり力も強くない。と言って、とっても頭がいいわけでもない。そういう種族はどうしても、他の種族から低く見られる……そんな感じだったなあ、あの墓守さんの話聞いたときも。

 そして、その扱いはマール教がこの世界に広がった時期から多くなってきたのだという。実際はどうだか知らないけれど、それでこちらに味方が増えるならいいや。ひどい神様でゴメンな、一応邪神だし。

 それでも彼らは、自分たちの技術に自信を持っている。だから俺は、彼らを自分の配下として迎え入れる。


「小柄ですから、細かい作業は得意なんですよ。墓守や水守をすることが多いのも、小さな身体ならできる作業が多いこともあるんです」

「うん。だから、お前さんに城に来てもらうんだ」

「お任せください。お城の中をしっかりチェックして、コータ様が過ごしやすくなるようにがんばります!」


 そう。つまり、城内設備の保守点検用に来てもらうことになったわけだ。

 まずは代表としてこの彼女、チュリシスに概要を見てもらって、その結果必要な人員を割り出してもらう。で、力仕事は得意な連中にやってもらう形でお願いすることになるな。


「コータ様もお小さくていらっしゃいますが、我らの長として大変ではございませんか?」

「いや、配下には恵まれてるんだ。お前さんも含めてな、チュリシス」

「ありがとうございますー」


 スティの背中で俺の前にちょこんと座ってる、俺と同じくらいな可愛い白ネズミの少女はにっこり笑って答えてくれた。ネズミなんで化粧っ気もへったくれもないんだけど、別に下水とか臭い匂いがするわけでもない。

 ちゃんと清潔にしてれば、ネズミは可愛いよなあ。赤い目がくりくりっとしてて、必要もないのに吸いたくなっちまうし。


「ちゃんとした代価を払えるかどうかは分からないけれど、他の配下に頼んで皆の集落が少しでも暮らしやすいようには取り計らうつもりだよ。だから、頼むな」

「コータ様のために働けるだけで光栄なんですよ? そこまでやっていただいちゃったらチューは、もうコータ様に何もかもささげちゃいます!」


 ……よし隙見て吸おう。めちゃくちゃ可愛すぎてどうしようもないぞ、彼女。

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