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実は異世界の神様だったらしい俺。それも邪神で少女神  作者: 山吹弓美
十四:メイヒャーディナルの峠
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256.諸悪の根源どんなやつ

「現在、マール教は教主がすべてを仕切っていると言っても過言ではありません。人事も部隊の動きも、彼の一存で決められます」


 ぽつぽつとルッタが話し始めたのは、マール教の現状だった。昔がどうだったかは分からないけれど、今は実質的に教主の独裁と言って構わないようだ。


「とはいいましても、教主のすぐ下につく秘書や各部門の長などは全て教主の女となっております故、軽微な事象に関しては彼女たちに任せられておりますね」

「細かいところは丸投げしているわけですね。その方が、ちょっとした判断などで上まで持っていく面倒がありませんから」


 確かに、ジランドの言うとおりだな。何から何まで教主が決める、なんてことになったらどんだけ教主忙しいんだよ、っていう。

 俺だって、そういう立場になったら専門的なところは四天王とか、シーラやジランドに丸投げするぞ。めんどくせえもん。

 ただ、教主がそこらへんを丸投げできるのは俺の考えとは違う、下衆い理由があった。


「子種と共に、教主の考え方も流し込まれているのです。そうして、私も含め女たちは教主だけを崇め、その心にそぐうために自ら動くのです」

「あの、そうするとアルタイラ様って」

「……不本意ながら」


 こだねて。あとファルン、あんまり他の人がいる場所でそういうこと聞くんじゃありません。

 それから教主、なんとしてもぶっ潰す。主に子種生産部分。前は俺も持ってたけど、なくなったんで遠慮なくぶちっといかせてもらおう。


「アルタイラさま、わるくないですよね?」

「悪くないな。ミンミカの言うとおりだ」


 何かミンミカがへこんでいたので、頭をなでてやる。別に、お前が何かしたわけでもないんだからへこむ必要ないんだぞ。

 一番へこむべきは、……サブラナ・マールに勝てなかったこの俺だからな。


「そういえば、少し気になることが」

「何か、ございますか」


 ふっとルッタが上げた声に、即座にシーラが反応する。さすが上司と部下、ここらへんは早いな。


「現在の教主ですが、わたしが初めて会ったときから外見はまるで変わっておりません。既に十年、それ以上は経過しているはずなのですが」

「……ふつーの人間でか?」


 えーと。

 男が十年以上同じ面構え? いや、この世界長寿の人種とかもいるだろうけれど、ルッタが気になるってことはそれが通常の状態じゃないってことなんだよね。


「少なくとも、外見上は。角も尻尾も、翼も鱗もございません。そうですね……」


 獣人でも鳥人でも、鱗ってことは魚人でもなさげだ。

 ルッタは自分を取り囲む俺たちをぐるっと見回して、一人に視線を止めた。


「ジランドと同じくらいの年齢に見える男、です」

「ジランドと、か」


 そこで当然、というか全員の視線が名前挙がった本人に集中する。当人は「俺、ですかい」とものすごく不思議そうな顔。

 で、全員の反応が「それはおかしい」となったので、俺はちょっとほっとした。

 要するに、多分普通の人間である教主が十年以上外見変わらない、ってのが俺の常識から言ってもこっちの連中の常識から言っても変、というわけで。あーよかった、ここらへんの常識ずれてたら、修正するの大変だし。

 爺さんならともかく、ジランドと同じくらいとなるとせいぜい外見上五十代。それが十年以上同じ外見って、絶対おかしいわ。うん。五十代と六十代、うっかりしたら七十代が全く変化ない、ってそりゃないし。顔のしわとか髪の量とか、肌の艶も変わってくるだろうよ。


「……長年見続けているから変化を感じない、ということではなく?」

「それはない。何しろ、教主の肖像画というのが神都で見ることができるのだが、その姿と今の姿が全く同じなのだ」


 スティの念を押すような疑問にすら、ルッタは証拠を挙げて反論してみせた。

 あ、肖像画あるんだ。どっかにあるなら、俺も見てみたいな。潰したい相手の顔を。

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