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実は異世界の神様だったらしい俺。それも邪神で少女神  作者: 山吹弓美
十四:メイヒャーディナルの峠
246/432

245.夜明け後にどっきりよ

 やがて、周囲からわあっと歓声が上がった。まあ、要するにお日様が出てきたんである。


「おー」

「まあまあ。素敵ですわね、コータちゃん」

「だなあ」


 ファルンが楽しそうに声を上げる。他の皆も、そして俺も声を上げたり無言のままだったりするけれど日の出をじっと見ている。既に空は明るくなっていたんだが、じかに光るもんが出てきたから眩しいことこの上ない。

 なるほど……時期にもよるけど、ちょうどまるっとへこんだところの真ん中に昇ってくるんだな。そりゃ、拝みたくもなるわ。

 良い所に穴開けたな、戦士クルンガ。いや、お前さんはそういうこと考えて山をふっとばしたわけじゃあないんだろうけれど。


「いい眺めだろ」

「っ」


 ふいに可愛い声が聞こえて、慌ててそっちを見る。シーラも、カーライルたちも声の主に視線を集中させた。

 だってさ、さすがに探しに来た本人が向こうから目の前に現れてくれるなんて、なんぼなんでも都合良すぎだし。


「あ、えーとスティさん、でしたっけ」

「俺の名前を知ってたか。まあ、いつもここらへん、うろついているからな」


 いち早く復活したジランドが彼女の名前を呼ぶと、スティはニヤリと笑って答えてきた。虎の顔が笑うと、なかなか迫力あるなあ。

 耳をぴるぴると震わせてから、彼女は軽く声を潜めた。


「俺を探してたんじゃないのか? お嬢ちゃんたち」

「え、なんで」

「何となく。これでも鼻が利くんでな」


 思わず反応してしまったのはコングラだけど、これは怒る気にもなれない。もちろん俺たちが彼女を探していたのは事実だし、図星突かれても平然としてる他の連中がある意味異常なんだし。

 ああ、ウサギ兄妹もここは反応しなかった。垂れ耳だけふらふらしてたけど……こいつらの場合、相手が肉食系だからかもしれないからなあ。

 それはともかくとして、だ。


「お前さんたち、ちょっと違った匂いだから覚えていたんだよ」


 スティがそう言ったことで、俺たちの間に緊張が走る。俺は思わずシーラにしがみついてる手の力を強くしただけだけど、特にシーラとカーライルは微妙に殺気をまとってるし。


「別にやる気はねえけど、人いねえほうが良いか?」


 その二人と、軽く身構えている他の皆をはいはいと手のひらで抑える仕草をしてからスティは、そんな事を言ってきた。

 そう言ってもらえれば、こちらも動きやすいよね。人がいない場所でやる方が、俺だって遠慮なく吸えるしさ。


「ああ、その方が良い。こちらも、あまり周囲に迷惑をかけるつもりはないからな」

「分かった。ついてきな」


 代表してシーラが答えてくれたので、スティは大きく頷いて身を翻した。俺たち全員がその後について、ご来光に見入っている他の観光客たちの間をすり抜けていった。

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