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実は異世界の神様だったらしい俺。それも邪神で少女神  作者: 山吹弓美
十四:メイヒャーディナルの峠
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241.かわいい声は君かいな

「おい」

「っ」


 いきなり、カーライルの動きが停止した。というか、軽く後ろに引かれた感じ。腕掴まれて引っ張られた、というのが一番正しいようだ。

 カーライルが振り返る……のは俺が邪魔だから俺のほうが振り返ると、その原因は大柄な獣人さんだった。身体が全体的にガッシリとしていて、ミンミカたちよりも顔が獣寄りである。具体的に言うと虎だな、こりゃ。ただし黄色と黒じゃなくて、灰色と黒。

 けど、今のおいって声めちゃくちゃかわいかったんだけど……別人か?


「そこ、あまり前に出すぎると滑るぞ」

「おっと」


 あ、獣人さん本人だった。アニメ声、とまでは行かないけれど高めの声……って、この虎、女の子か。子、という年齢かどうかはさておいて。

 それはともかく、獣人さんの指摘に後ずさりしながらカーライルは冷や汗をかいてる。そりゃまあ、俺を肩車してるんだからな。うっかり落っこちたらえらいことだし。


「ココらへん、大人でも危ねえけどガキには余計危ねえぞ。目を離すなよ」


 にい、と笑う顔は大きな猫なんだけど、口元の牙が怖いです姐さん。いや違うか。

 カーライルはその牙の迫力には負けないらしく、普段どおりに笑ってみせた。


「ありがとうございます。もちろん、気をつけておりますよ」

「なら良いんだけどよ。ゆっくり見ていきな」


 虎獣人さんは満足したのか、軽く手を振ってその場を離れていった。あ、尻尾も長くて太い。ぱたん、と振られたアレでびしっと殴られたらきっと痛いだろうな。


「……あれ、女の子だね」

「そうですね」


 ひとまずそのことだけカーライルと確認していると、シーラたちが恐る恐る接近してきた。何、思わず距離取ってたのかお前ら、と思って周囲見ると妙にこの辺だけ、人口密度が薄い。虎姉ちゃんの迫力故か。


「コータちゃん、大丈夫でしたか?」

「私もカーライルお兄ちゃんも大丈夫です。さっきのお姉ちゃんが、危ないって言ってくれましたから」

「あら、女性でしたの?」

「声がね、とても可愛らしかったんです」


 ファルンが分からなかったところを見ると、声聞こえてなかったみたいだな。確かにあまり大声ではなかったけどさ。

 振り返ってみるけれど、もう虎姉ちゃんの姿は見えなくなっていた。ただ、何となく人が薄い場所があるから、峠を降りて行ったのかなってのは分かる、ような気がする。


「とらの、おねえちゃんですか」

「うん」

「とら、かあ」

「虎、ですか」


 おや。

 ミンミカとアムレクが、考え込むような顔になる。シーラも視線が空に行ってる感じで……これは、何か心当たりがあるってか。


「……あのう、コータちゃん」

「はい?」


 やがて、声を上げたのはシーラだった。俺たちのそばに寄ってきて、ひそひそ声で答えをくれる。

 どうやら、あたりといえばあたりだったらしい。


「バングデスタ様は、確か虎でした」

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