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実は異世界の神様だったらしい俺。それも邪神で少女神  作者: 山吹弓美
十四:メイヒャーディナルの峠
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237.ここからは自分の足で

 しばらくがたごとと進んでいた牛車の動きが、急にスムーズになった。道が綺麗になったんだろうかと思う暇もなく、牛車はスーッと止まる。やっぱり、綺麗に整地されてる場所だな。


「到着しました。牛車はここまでですね」

「ここまで?」


 御者台からこちらを振り返ってきたジランドの台詞に、おやと思う。その肩越しに外を見たら……ああ、他にも同じような牛車がいっぱい泊まってるわ。それで理解できた。


「駐車場なのか。なるほど」

「ここからメイヒャーディナルの戦場まで、ちょいと歩いていくそうです」


 要するに観光地の少し手前までしか牛車では行けなくて、あとは徒歩ってことだ。山の中の観光地だし、そりゃまあ当然か。

 って、戦場、なんだな。


「ってーとつまり、バングデスタが倒された現場か」

「そうなりますね」


 ボソリと呟いた俺の言葉を受けたのは、カーライルの頷きだった。少し怒ってる感じなのは、やっぱりマーダ教側のえらいさんがやっつけられた場所、だからかな。

 まあそれより、降りないとなと思ったところでジランドが再び声をかけてくる。考えることは一緒というか、当然のことで。


「牛車止めて来ないといけないんで、すいませんがシーラ様、カーライルさん、よろしく頼んます」

「任せよ。カーライル、先に降りろ」

「はい」


 後ろの戸ををさっさと開けて、カーライルが牛車から降りる。俺たちもすぐにそちらに動くけど、背後からシーラが俺の腰を両手で抱えた。


「コータ様、失礼いたします」

「おう」


 いや、抱えるより先に言えよとは思ったけど、そこで文句をいうほど俺は暴君ではないつもりなのでいいや。大体、やりたいこともわかったし。

 だって、牛車の後ろでカーライルがこっちに手を伸ばしてきてるからな。満面の笑顔で。


「はい、コータちゃん、どうぞ」

「おー」


 シーラの手からカーライルの手に渡されて、少しだけふわりと浮いた感じになって、そこから地面に下ろされた。

 ちっちゃい子供の身体だからやってもらえるんだろうけど、これはこれでなんかいい感じだな。空飛んでるみたいで。

 いや、シーラに頼んだら抱えて飛んでくれるか。……シーラが言ってた、でっかい鳥の魔物に乗って飛ぶのもいいなあ。


「コータちゃん、大丈夫でしたか?」

「平気でしたよー。山道は揺れるから、酔わないかなってちょっと心配でしたけど、シーラお姉ちゃんがいてくれましたから」

「それは光栄です」


 カーライルと話してると、牛車を降りてきたシーラが……ああ、これまた満面の笑みだ。もしかしてお前、俺の背もたれやってる間ずっとそんな顔だったりしたのか?


「……牛車に戸が付いていてよかった、とあれだけ思ったことはありません」


 こっそりカーライルに聞いてみると、そんな答えが返ってきた。満面の笑み、というよりはにへらっとしてたのかもな。

 大丈夫かな、俺の配下こんなんで。

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