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233.この街って案外と

「今後なんだけど。魔物に襲われた集落について、話を聞けるなら聞いておいてほしい。こっちの手下にできれば何かに使えるかもしれないし、だめなら潰しとくべきだし」

「自分たちはただの修行者一行ですから、あまり口を挟むのもどうかと思いますが」

「しかし、魔物を配下にできればコータ様のお力として、きっと役に立ちますわ」


 考えた末に、シーラとファルンにはそうお願いすることにした。修行旅行中の僧侶様とその同行者、であるのはシーラの言うとおりだけど、でもほっとけないし。

 仲間が増えるなら、それに越したことはないもんな。ファルン。


「まものさん、なかよくできるかなー」

「仲良くできたらいいな」


 のんきにぴるぴると垂れ耳を震わせているミンミカに、俺はそう言ってやった。肉食タイプだったら、こいつやアムレクが食われないようにちゃんと命令できるようにならないとな。




 その晩はのんびりと飯を食い、風呂に入って爆睡した。結局、翌日は一日休暇をとって峠行きはその次の日、ということに決めた。

 せっかくマール教の異端派、なんていう珍しいところに来ているわけだしね。ちょっとは見物しておきたいじゃないか。


「……とは言っても、普通の街だよな」


 明日牛車を動かすジランドとコングラには、部屋で休んでもらってて。

 途中の店先で売られてた焼きとうもろこしをもぐもぐと食らいつつ、他の皆と一緒にクルンゴサの街を歩く。味は俺の知ってるものより、ちょっと甘みが足りないかな。あと塩焼きなのがなあ……ああ、醤油の焦げた臭いが懐かしい。

 それはそれとして。


「おそらく、神都サブラナの影響が皆無ではないでしょうからね」

「メイヒャーディナルの峠に行くにはこの街を拠点にするしかありませんから、中央もあまり厳しくは出られないのでしょう」


 カーライルとファルンが、周囲にちらちらと視線を向けながらそんなことを言う。だよなあ、聖地という名の観光名所に向かうための拠点の街なんだから、いくら異端派でもあまり文句は言えないか。

 ……昔のサヴィッスみたいに、潰してしまってからしれっとサブラナ派に入れ替えたりはしなかったんだ。


「そこまでやると、さすがに反発が強いかと」

「それもそっか」


 意見を聞いてみると、シーラがそう答えてくれた。だよなー、そうでなくてもマーダ教信者が暴れたり何だりしてるのに、そこにクルンガ派まで加わったりしたらめんどくさいよな、相手するの。

 てことは、この街は異端派が一息つくためにそのまま置いてあるってことか。……いいなあ、俺たちにもせめてそういう街、一個くれよ。お前らの邪魔、しないから。


「コータちゃま。とうもろこし、おいしいですか?」

「ん、うまいよ」


 ミンミカが尋ねてきたので、素直に答える。甘みが足りないとはいえ、うまいもんはうまいからな。


「そですか、よかったです!」

「これはひとがたべるようだから、だいじょうぶだよ。ミンミカ」


 ……いや、ミンミカ、アムレク。食い物の店で売ってたやつだから、俺が食えるやつだってば。一応、家畜用のとうもろこしがあるくらいは俺だって知ってるけど。

 あ、でもとうもろこしって、確か寒いところの作物じゃなかったよな。これもよそからの輸入か、大変だなあ。

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