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232.魔物ってどんなんだろう

「おふとんですー」

「落ち着けミンミカ、布団は逃げない」


 鍵を開けて、部屋に入る。窓から入ってくる光で、室内はそれなりに明るい。

 そんなに広くない部屋に四人がけのテーブルと椅子、それに二段ベッドが二つ入ってて、それぞれに布団が畳んで積まれている。空気の匂いは気にならなかったから、ある程度掃除とかリネンの取替とかはきっちりやってるらしい。

 ファルンが「まあ、この値段でしたらこのくらいですわね」とか言ってたんで、そんなもんなんだろう。まるで林間学校とか部活の合宿で泊まる宿みたいで、俺は楽しいけどな。


「ミンミカはしたのだんがいいです!」

「自分も、上に上がるのが手間ですので下がいいのですが」

「ああ、いいよ」

「では、コータ様とわたくしが上の段ですわね」


 早速下段希望者が二名出たので、ベッドの位置についてはあっさり確定。ミンミカはともかく、確かにシーラが上の段使うってのは大変だろうな。上り下りするときに羽がつっかえそうで。

 まあ、それはともかく。

 各自荷物を置いたところで、ふと思い出した。ファルンに聞いてみるか。


「ところで、魔物って何だ? 集落襲われた、みたいな話してたけど」

「ああ。そういえばコータ様、こちらのことお詳しくないのでしたわね」


 そう答えられて、たしかにそうだよなあと思う。一応こっちの世界にいたはずの神様なのに、まるで詳しくないもんな。サブラナ・マールのせいだけど。

 ベッドから降りて、椅子に腰掛ける。木の椅子で座布団ないから、長くは座ってられないなあ。うっかり尻の下に尻尾敷いたら、立ったときにしびれてたりするんだぜ。なんというか情けない、うん。


「魔物というのは今の世界では、巨大な獣を指す呼び方です。昔マーダ教の配下として暴れたから、魔という呼ばれ方をされてるというのがマール教側の言い分ですがね」

「へえ。巨大って、どのくらい? 牛車引いてる牛は入らないんだろ」

「基本的には、人の家より大きいものでしょうか。ただし、基本的には人里離れた山奥や海の底などで暮らしているものがほとんどです」


 ファルンの答えを聞いて、はあと呆れた。いやだって、人の家よりでかいって。

 確かにそりゃ巨大だわ、魔物って言いたくなるよな。俺の認識だと象より一回り大きい、くらいが下限ってとこだろうし。

 陸上だと象で海の中だと……クジラとかか。あー、レイダの配下にそういうのいそうだな、いっぺん背中に乗ってみたい。

 ま、それはそれとして。


「それだけ大きいと一頭が食う量も多いだろうから、個体数自体は少ないだろ。じゃあ、被害を受けた集落ってのはかなりレアな部類か」

「そうでしょうね。土地によっては祟り神や守護精霊などと呼んで、食べ物などを供えて祀っているところもあるようです」

「ミンミカのふるさとのちかくにも、おっきなまものがいるってはなしでした。みんな、みたことないですけど」


 なるほど、飯食わせておとなしくしてもらってるわけね。そういうやり方もあり、なのは分かる。で、ミンミカが見たことないってことは肉食メインじゃない魔物もいる、ということになる。ウサギ獣人、単純に考えて肉食魔物の飯にはちょうど良くね?

 ……そういえば、マーダ教の配下だったとマール教が言ってるってことは、だ。


「……シーラ、昔の戦で使った?」

「空を飛べぬ部隊の移動用に、巨鳥を貸し出した記憶はあります。とはいえ、サブラナ・マール側も使っておりましたが」

「ま、そりゃな」


 何だ、自分とこでも使ってたんじゃねえか。こっちに責任おしつけるなよなあ、サブラナ・マールめ。


「おっきいとりさんに、のっけてもらったですか?」

「山や海や森などを飛び越えられるから、かなり移動が楽になる。そのかわり、目に付きやすいがな」

「おそらにおっきいとりさんがいたら、よくみえますもんねー」

「地面を大きな魔物に乗って移動しても、目立つものは目立ちますものね」


 あー、そこか。

 そりゃ、でっかい魔物で移動したら目立つよな。夜に隠密で移動したり、速度に任せてそのまま敵陣に突っ込んだりするならともかくさ。


 とにかく、魔物を仲間にできるなら何とかしたいなあ、とは思った。あと、間の字ってこっちだっけ、と一瞬だけ。

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