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231.ここは普通に安宿だ

「ここですわね」

「ま、あの値段ならこんなもんだろ」


 ファルンが受け取った紙には、宿の位置が書いてあった。他にもいくつか提携した宿があるんだろうな、上にナンバー振ってあるし。

 その案内に従ってやってきたのは、ぶっちゃけ長屋というのが正しい感じの建物。外階段付きの二階建てだから、アパートと言ってもいい感じかな。

 建物全体が大きな門のある塀で囲まれていて、すぐ側には食堂やら土産物屋やらが並んでいる。分かりやすく門前町……ちょっと違うか。


「はい。教会様よりのご紹介ということで、お部屋はお取りできます。どうぞ」


 で、門を入ったすぐのところに門番の詰め所……もとい、ここが受付になっている。そこに声を掛けると従業員さんに案内されて、一階端の二部屋へと案内された。それぞれ玄関に鍵がついていて、俺たちはその鍵を借りて入るということになる。


「男性、女性でそれぞれお部屋をお使いくださいませ。浴場は教会地下にございます。また、お食事は入口を出てすぐ横にあります食堂でとることができます」

「はい、ありがとうございます」

「では、ごゆっくり」


 ざっくりと説明だけされて、さっさと従業員さんは受付に帰っていった。忙しいんだか事務的に仕事する人なんだか、それは分からないけれどこちらとしてはあまり話しかけられても困るし、まあいいか。

 で、俺は当然女性部屋の方に入るわけで、ミンミカに手を引かれた。


「コータちゃま、こっちはいるですよー」

「ああ、はい」

「あ、そちらが女の子部屋で決定っすか」


 コングラが、肩をすくめて指摘する。はは、ミンミカは勝手に端っこの部屋にずかずか進んでるんだよな。確かに、話し合いで決めるのがいいんだが。


「俺は別にどっちでも構わねえからな。コングラの夜這いだけ気をつければいいし」

「そんなことをしたら殴りますよ、コングラ殿」

「しませんよ!」


 何故か、ジランドとカーライルは部屋の位置じゃなくコングラの素行にツッコミを入れていた。……なし崩しにこっちが女部屋で良いみたいだな、うん。


「すまない。きちんと話をして決めるべきだった」

「だいじょうぶですよー。はじっこのおへやだとまどがおおいから、コータちゃまおそとがよくみえます!」


 頭を下げるシーラに、なんとアムレクが答えてる。おい男ども、ウサギ兄を見習えまったく。


「それでは、こちらの部屋を使わせていただきますわね」

「カーライルお兄ちゃんたち、ゆっくりしてくださいね」


 ファルンと一緒に男性陣に声をかけると、「ゆっくりしまーす」とアムレクがのんきに答えてくれた。ああうん、やっぱりお前はそれが一番いいや。


「はい。荷物を置いたら風呂でも入ってきますよ」

「その後酒でも飲むかねえ」

「親方、ほどほどにしといてくださいよ?」


 他の三人はまあまあ、そんな感じだよなあ。ところで、さすがに飲酒運転は牛車でもやばいんじゃないか、と思うんだが。


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