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223.今夜は更けたしはよ終われ

「ひとまず、周囲は落ち着きましたぜ」

「あ、シーラ様、お戻りご苦労さまっす」

「うむ。お前たちも、見回りごくろうであった」


 ある意味ウサギ兄妹よりも空気を読まない、この二人が戻ってきた。そうか、ルッタとシャングリア、うまいこと賊を叩き潰してくれたみたいだな。……ひっ捕らえて本部かどこかまで連行、かな?

 あとシーラ、偉そう。いや偉いんだけど。


「シーラ様もお戻りになったんなら、そろそろ休みましょうや」

「明日も牛車ですんで、できるだけ疲れを取っといてもらったほうがこっちもありがたいっす」


 そうして牛車コンビはやっぱり空気を読んでいない……というか、逆にしっかり読んでるか、もしかして。

 問題は落ち着いたんだからとっとと寝やがれ、明日も移動だってことだもんな。


「ぼくがみはりをしてますから、だいじょうぶです!」

「おにいちゃんのあとは、ミンミカがみはりをするです!」


 アムレク、続いてミンミカがはいはいと手を上げた。ウサギ兄妹、地味に見張りはちゃんとする。さすが、そもそも天敵の多い草食系だな。


「……アムレクとミンミカが見張り当番か。そうすると」


 ふと、そんなことを考える。シーラは当番じゃない、ってことは寝るってことだから。

 よし。


「シーラ、一緒に寝てくれ」

「はっ……へっ?」


 俺の指示にひとまず素直に答えて、次の瞬間シーラの声がひっくり返った。いや、そこまで驚かなくてもいいだろうが。

 ミンミカが見張り当番になるんなら、別のやつを枕代わりにしてもいいよな、と思ったわけなんだけど。

 あと、シーラにはちょっと言っておきたいこともあるし。ルッタのこととか。


「そうですね。シーラ様はお疲れでしょうから、見張りに関しては心配は要りません」


 うちのメンツで一番空気を読むのはこいつであろう、カーライルが地味に後押しをしてくれた。ヤツのことだから、俺がシーラに何か言いたいんだってのを見切ってるかもしれない。


「わたくしもおりますので、ご安心なさいませ。ジランド殿とコングラ殿も、ゆっくりお休みください」

「え、いいんすか?」

「いいのか?」


 そうしてファルンもフォローに入ってくれて、あと牛車コンビにも休憩を促す。普段は二人組だから、交代で仮眠を取りつつ見張りとかしてるんだろうけれどさ。


「ぼくたち、ぎっしゃのうえでばくすいするだけですから!」

「牛車の扱いが睡眠不足で危なくなっては、ことですからね」

「なるほど。そりゃ、ありがたく休ませてもらいまっさ」


 身も蓋もないぞ、アムレク。確かにお前ら、牛車に乗ってるときってよく寝てるけどさ。

 とはいえ、カーライルの言う通り睡眠不足の状態で牛車動かされてても困る。自動車運転するのとは違うけど、牛っていう動物使ってるんだから別の意味で危なっかしいもんな。


「それじゃ、俺たちは牛車で休んでますんでてきとーにお休みくださいよー」


 コングラの脳天気な挨拶とともに、今夜はおしまいとなった。

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