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222.何とか終わって夜もふけて

「ただいま戻りました」


 そう言ってシーラが戻ってきたのは、俺が皆のところに帰ってから……三十分くらいかな、経った頃だった。ちょっと怪我してるようだけど、無事で何より。

 なお、ジランドとコングラは周辺を見回りに行っていて現在留守である。そりゃまあ、賊が暴れてたんなら確認に行くわな。


「大丈夫だったか?」

「はい……その、愚かな賊どもの乱入がなければ、自分は戻ってこられなかったかもしれません」


 一応尋ねてみると、シーラは困った顔になって何かを思い出すように視線を上に向けた。俺からそらした、とも言うか。

 それでほんの数秒後、俺に向き直ってシーラは、こんなことを言ってきた。


「コータ様、ありがとうございます」

「え」

「賊を誘導してきた教育部隊の娘から、ほんの僅かコータ様の気を感じました。下僕にされたのでしょう?」


 バレてるしー。

 まあ、しょうがない。皆にとっては特に問題になる話でもないし、サラッと話しておこう。


「あー、漏れてたか。うん、俺のことここに連れてこようとしてくれてたから、せっかくだし」

「せっかくで、すう、ですかー」

「コータ様、お腹が空いていらしたのでしたらわたくしどももおりますのに」


 あれ。何故か、ミンミカとファルンがすねている感じがする。いや、あんまりお前たちから吸ったら自分らの分が足りなくなるだろうが。

 外部からの補給物資は重要なんだぞ。……って、そういう意味じゃないのかな。

 というか、今回はシーラを助ける意味の方が強かったからな。そこを主張しておかないと。


「シーラがやばいかな、って思ったから。うまく行ったようで良かったよ」

「は。今後は剣の腕をさらに磨き、此度の恩に報いたいと思います」


 だからはっきりそう言うと、シーラは俺の前にひざまずいてそう答えてくれた。いやほんと、いくら元々の上司だからって勝てないってわけじゃないだろうし。

 できるだけ早く吸って、仲間に戻さないとな。シーラのためにも。


「それがよろしいですわね。わたくしどもとしましても、シーラ様がおられなくなるというのは寂しいものですから」

「シーラ様はコータ様にとって、大切な配下のお一人ですからね」

「シーラさまがいなくなると、ぼくもさびしいです」

「あんまり、コータちゃまにたいへんさせたらだめですよ?」


 っておいおいおい。

 何だ、お前らもやっぱりシーラのこと、心配してたんじゃないかよ。

 ……いくら何でも今のパーティでの最大戦力だから、というのは無しな。そのくらいにしか考えてないやつは、この中にはいないと思いたいけど。


「……き、気をつける。そして、次はアルタイラ様に負けぬ剣士となると誓います」

「うん、その意気その意気」


 もっとも、少なくとも自分が心配されていたことを理解したシーラは殊勝なもんだ。ルッタ、アルタイラと同じくらいの強さにまでなってくれれば、俺の配下としてはほんと申し分なさすぎる。『剣の翼』と『翼の姫』で今夜はダブル翼の剣士だ、みたいな。


 ……ほんと、なんとかして早くルッタを吸ってやらないと。

 サングリアスとシャングリア、何かうまくやってくれないかなあ。

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