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206.次に向かうは次の次

「んで、ランブロードは今やばいんですね?」

「うん」


 ジランドが確認のためだろう、視線は前を向いたままでこちらに声をかけてきた。周囲に第三者というか他の旅行者や牛車は見当たらないから、会話を聞かれる心配はないけれど。


「マーダ教を名乗る連中が騒ぎ起こしてて、そのせいで警備が厳重らしい。だからできれば避けてくれってさ」

「そういうことなら、急用なけりゃ避けますよ。普通のマール教信者でも」


 サングリアスの報告を、俺なりにまとめて伝える。ジランドから返ってきたセリフには、ちょっと安心した。

 ああ、騒ぎが起きてる街ならそりゃ、旅行者は避けるよなあ。自分たちが巻き込まれちゃ、たまったもんじゃないし。


「つーこた、次はクルンゴサっすね」

「ああ、それなら何とかなるか。川止めのことも考えて、保存食とかちょいと多めに仕入れてありますし」


 サヴィッスから、ランプロードを経由して向かうはずだったクルンゴサの街が次の目的地になる。氷の川が増水して橋を渡れなくなったときのために、ジランドたちは食料を多く持ってくれているらしい。

 なら、クルンゴサ直行は問題ないか。


「分かった。頼む」

「了解です」


 ジランドに指示を飛ばして……あ、と思い出した。

 俺たちを追いかけてる教育部隊のさらに後ろ、ボロニアたちが来ているはずだ。事情を知らなければ、彼女たちはそのままランブロードに行く可能性がある。


「ボロニアたちにも、クルンゴサ直行だって伝えないと」

「それなら、おそらくサングリアス様がランブロードのことをお伝えしているのではありませんかしら?」


 思わず立ち上がりかけると、ファルンがまあまあと俺を抑えながらそんな事を言ってきた。あれ、言ってくれるかな、あいつ。


「ボロニア一行がコータ様配下、ということはサングリアス殿は知っていますよ。大丈夫だと思いますし、少なくともランブロードの騒動のことは伝えるでしょう」

「そういや、吸ったときに協力してもらったっけ」


 カーライルからも言葉が返ってきて、それで思い出した。うん、あいつらを下僕にしたときその場にいたわ、ボロニア。彼女がマーダ教信者ってのも知ってるし、その後俺が吹き込んだしな。

 なら、何とかなるか。ボロニアもマーダ教やってて今まで苦労してきてるだろうし、そのくらいの知恵は回るよな。


「じゃ、回り込むんでちょいと速度上げまっさ。六日半くらいかかるんで、せめて半日とか縮めたいですし」

「そのへんは任せる。頼むぞ」

「お任せを。ミンミカ嬢と一緒にお休みください」

「ミンミカといっしょにねましょ、コータちゃま」


 ああ、そうだな。牛車のことはジランドとコングラに任せて、警戒のことは配下たちに任せて。

 俺はせっかくなので、もふもふを堪能しつつおやすみなさい。ああ、役得。

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