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203.昔も今も広い川

 その川は、結構幅が広かった。百メートル、じゃきかないんじゃないかな。もっとも全部水が流れてるわけじゃなくて、今は真ん中の五十メートルくらいが川幅になっている。

 両岸はあまり大きくない石がごろごろしていて、キャンプするにはちょうどいい感じ。ただし、増水しなければ。

 で、その今は岸になっている部分も含めてその上を、石造りのしっかりした橋が通されていた。牛車って結構重量あるし、増水した際の激流にも耐えるためにそうなんだろう。


「でかいな」

「大きいですね」


 ま、なんだかんだ言っても俺とカーライルのこの言葉が、一番分かりやすい感想だと思う。あっちの世界と違って重機とかないから、人力でやったわけだろ……まあ、クレーンみたいなのはあるかもしれないけど、それにしてもでかいわ。


「今は橋がかかって便利ですね」

「今?」

「かつての戦の頃は、橋などありませんでしたから」


 これはシーラの感想。そうか、昔戦争してた頃は橋なかったのか、この川。てことは、下の河原から水に入ってばしゃばしゃと行くか、船とかか。うわあめんどくせえ。

 ……ああ、それで敵がやって来にくいから橋、なかったのか。なるほど。


「当時は血の川、などと呼んでいたが。今では何と呼ばれているのかな?」

「氷の川、と呼ばれてるっす」


 シーラの質問に、コングラがさらっと答えてくれる。血の川、ってのは当然戦争で流れた血、なんだろうな。

 それが今では氷の川、か……こおり?


「シーラ様は昔からご存知だと思うんすけど、こっちの大陸じゃ一二を争う大河っすね」

「ああ、よく知っている。だが、氷の川?」

「へい」


 そりゃ、シーラも何で氷、とか思ったよな。それに関しても、コングラは理由を教えてくれた。


「今はいいんすが、寒い時期になると特に上流は凍るんで。下流まで、その氷が流れてきたりするんす」

「なるほど……それだけ寒いんですね、上流の方は」

「きたのほうにすんでるどうぞく、ぼくたちよりもっとふわふわなんですよ!」


 ファルンは感心して、頬に手を当てている。

 んでアムレク、北のウサギはやっぱり毛が多いのか、ふわふわなのか。というか、そこが重要……うん、重要だな。寒いと大変だもんな、ウサギ獣人も。


「……ん、すると暖かくなってきたらそれ、増水して大変とかないか?」

「さっすがコータ様、よくお分かりで」


 ふと思いついたことを口にすると、コングラがぱちんと指を鳴らしてきた。ああ、やっぱりか。

 つーか、それもあって水が出て大変だー、なんてことになるのか、あの川。


「そういうこともあって、やたらでっかい橋を作ったってことらしいっす。しょっちゅう足止め、なんてことになっても面倒っすし」

「そうですわね。この道はメイヒャーディナルの峠に続く道、修行の旅に出ている僧侶たちもよく使いますもの」

「かわのみずがおおいときでも、このはしだったらわたれるですね!」


 ファルンもミンミカも、いくつかあるだろう橋がでかい理由のひとつについては納得した模様。そうだよなあ、観光名所につながってんだから通る人、多いもんなあ。

 俺たちとか、俺たちの後追いかけてるあの皆さんとか。

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