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194.祠に入るは夜のうち

 さすがに、日の出ている間にやばい場所に行くのははばかられる。サヴィアの言葉もあるし決行は夜、となった。ちなみに俺たちは外で晩飯を食う、という名目で宿を出てきている。便利だねえ観光都市。

 夜にお参りする習慣はあまりないようで、教会近辺は静まり返っている。ぽつり、ぽつりと灯っている街灯も、全体を照らすには至らない。ちなみに街灯というか行灯? ろうそくなんだよね、光源。これはどこの街でもあまり変わらない。


「さて、と」


 で、俺とシーラ、カーライル、そしてファルンは教会へと向き直った。しーん、って音がマジでするように思えるこの景色、なかなかに怖い。これから何が起こるか、という点で。


「大丈夫でしょうか」

「今更だろ」


 首を傾げているカーライルに一言で答え、それから何となくそわそわしているシーラに視線を向ける。幽霊とかその辺は特に怖くもないんだけれど、強力な攻撃とかだとさすがに怖いし。


「物理的な相手であれば、自分が倒します」

「お任せいたしますわ、シーラ様」


 俺の視線に気がついてキリッとしたシーラに、ファルンは優しく微笑む。うむ、この二人はそもそもコンビで動いてたんだよなあ。それでカーライルを追っかけてきて、俺が出て。

 ……ま、最初の話は今いいか。教会の地下だ。行くぞ。




「よくお越しくださいました。どうぞ」

「お邪魔させていただきますわ」


 ファルンが中に声をかけると、あっさり俺たちは中に入れた。いや、出迎えてくれたサヴィアもジオレッタも、既に俺の下僕だからだろうけどさ。

 サヴィアは、ろうそくを手持ちの台に載せたやつを持っている。室内にはちゃんとろうそくの明かりが灯されているんだけど……ああ、地下用か。

 彼女たちに先導されて昼間入った部屋まで進むと、サヴィアがジオレッタに指示を出した。ほんと、そういうとこだぞ、サヴィア。


「ジオレッタ。扉の外で、見張りをなさい。重要な来客中ゆえ、何人たりとも入らせないように」

「分かりました」


 ジオレッタの方もいい加減慣れているようで、さっさと頭を下げて扉の向こうに消える。たしかに、そこの見張りは重要だけどさ。この奥で俺たちが何やってるか、見られるわけにはいかないからな。


「それでは皆様、どうぞこちらへ」

「はい」


 サヴィアを先頭に、奥の扉の前まで進み出る。……こう見ると、いくらお子様な勇者の像でもちょっと怖いな。


「解錠いたします」


 扉の側の金具に、持っていたろうそくの台を引っ掛ける。それからサヴィアは、大きな鍵を取り出した。腰にぶら下げていたみたいだな。それを、ドアノブの下に隠してあった鍵穴に差し込んでがちゃり、と回す。

 あら、意外と簡単に開くんだ。……マーダ教信者を誘い込むための罠、ということになってるから、難しい鍵じゃないのかね。


「どうぞ。明かりはこちらをお使いくださいませ」


 外したろうそくをこちらに差し出して、サヴィアはそう言ってくれた。こっちの部屋もおぼろげながら明かりがあるから、ひとまず問題はないかな。


「ありがとう。サヴィア、しっかり見張りをしていろ。絶対にここの扉を閉めるな」

「仰せのままに」


 一応、そう命じておく。おとなしく頷いたけど、大丈夫かなあ……ま、最悪シーラに暴れてもらうか俺が衝撃波ぶっ放すか、だけど。


「シーラ、先導を。ファルン、カーライル、後ろ頼む」

「は」

「承知しましたわ」

「お任せください」


 陣形を手っ取り早く指示して、俺たちは扉の向こうに足を踏み入れた。

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