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193.作戦会議はお昼中

 いつでも、教会は皆様を歓迎しております。


「多分、夜にでも来いやってことだろうな」


 サヴィアの言葉を、俺はそういうふうに解釈した。

 俺たちのために教会の奥、祠への道を開いてくれるということだろう。それがガチで俺たちのためなのか、そうでないのかは分からないけどな。

 さすがに人のいるところでこんな会話はできないから、教会近くの食堂で個室を確保して昼飯中である。相変わらず、マール教の力は絶大だ……つまりファルンの同行者、ってことで個室取ってもらえたんだけどね。


「アルタイラ様に関係することであれば、自分は行ってみたく思います」

「うん、俺もだ」


 翼王アルタイラの名前を聞いてから、シーラは気が気でないらしい。うんまあ、行方不明な自分の上司について情報が得られるかもしれない、ってことだしなあ。

 俺にしたって同じなんだけど。


「四天王はまだレイダしか復活してないし、他の三人は正直ヒントにも乏しいからな。ちょっとした情報でもあれば、それは手に入れておきたい」

「龍王クァルード様は龍人族そのものの情報がほとんどないですからね、探しようがありません」

「バングデスタさまなら、もしかしたらこのさきでなにかわかるかもしれないです、けど」


 カーライルの言う龍王クァルードは、ほんとに何にも情報がないらしい。その配下とも言える龍人族がすっかり引きこもりになってるようだから、漏れようがないんだろうな。

 ミンミカの挙げた獣王バングデスタは、メイヒャーディナルの峠で倒されたことが分かっている。だから、その近辺を探れば何かの情報なり生まれ変わりなり、が出てくる可能性は高い。

 そして、今目の前にあるかもしれない、翼王アルタイラの情報。手を伸ばして取れるなら、取っておきたい。


「罠かもしれませんよ」

「サヴィア殿もジオレッタ殿も、コータ様の下僕になっているのにですか?」


 カーライルの慎重な思考は、こういうとき本当にありがたい。ファルンがびっくりするのも無理はないけれど、でも確かにそうだ。


「一応そうなってるけど、その可能性はないとは言えないな。抵抗力あったりするかもしれないし」

「抵抗力、ですか」

「多分俺の能力自体、昔のアルニムア・マーダからすると弱体化してるはずだ。身体も小さくなってるし記憶もないし、これで能力がそのままなわけはないよ」


 シーラが訝しげに顔をしかめるのに、ざっと説明をしてみせる。いやもう、下僕作るのと衝撃波ぶっかませるだけのロリ獣人でしかないしな、正直。

 抵抗力といえば、思い出すのがグレコロン。……あの吹き込み合い勝負はもう、笑っちゃいけない真剣勝負だったんだけど何というか笑えるよなあ。


「とはいえ放っておけるもんでもないし、さっきも言ったけどアルタイラの情報はほしいしな」


 多分、俺は無茶を言っているんだと思う。ただ、情報は欲しいし正直この街はあまり好きじゃないし、暴れたりぶっ壊したりする可能性は出てくるけれどそれならそれでもいいかな、とは思っている。


「サヴィアに責任全部、押し付けるつもりで行ってみるか。抵抗力があったりするんなら、限界まで吸い上げて吹き込むだけだ。どうせ親は領主なんだし、何とかするだろ」

「コータちゃま、むちゃいうですね……」


 あ、アムレクに呆れられた。やっぱり無茶だよな、うん。

 でもまあ、一応保険はかけておくさ。


「全員で行くのも何だし、半分は待っていてもらうか……シーラ、カーライル、来てくれ」

「は、お供いたします」

「分かりました、コータ様」


 シーラは行きたがってるし、剣の実力は信頼している。カーライルは何となく最初からずっと一緒だし、男だからな……俺とシーラがまずい術に引っかかっても、性別の違うこいつなら無事って可能性は十分にあるから。


「アムレクとミンミカは宿で待機。足も早いし、何かあったら即逃げろ」

「ほえ?」

「たいきですね、わかりました」


 ぽかんとするミンミカに対し、アムレクは即座に頷いた。こういうところはちゃんとお兄さんなんだな、アムレク。

 さて、どうするかと考えた最後の一人。連れて行っても、置いていってもそれなりにやることがある、僧侶。


「ファルンは……」

「教会に伺うのですから、わたくしが同行したほうが周りには疑われませんわ」


 きっぱりと笑顔で言われて、反論はできなかった。しょうがない、隠れ蓑代わりに連れて行くか。うん。

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