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185.きょうだいたちのそれぞれ事情

「まあ、どの神拝んでるにしてもさ。悪いことしてなきゃ良い、と俺は思うんだよ」


 同行者たちを見渡して、俺はそう言った。マーダ教信者だって、俺を信仰しているのがバレなければ特に問題ない人が大多数だろうし。

 ただ、みんなはびっくりしてるんだよな。「俺が言うのも何だけどな」って付け足すとああ、と何か納得したような顔になったけど。

 別にマール教信じてようが俺の知ったこっちゃない。俺、というかアルニムア・マーダがされたことについては、俺が怒ればいいだけだから。


「だから、コングラは余計なこと言わないほうが良い。それで兄弟仲が悪くなってもいやだろうし、マーダ教関係でなにかあっても多分、それはお前さんの関わらない話だ」

「すんません。ありがとうございます」


 ベングラさんがマール教信者であることにだって、俺は文句つけるつもりはない。だけどそれで、ベングラさんとコングラの仲が悪くなるってのが俺には気分悪い話だから、そう言ってやった。コングラには頭を下げられたけれど、これは俺のわがままみたいなもんだしなあ。


「ジランド殿も、素知らぬ顔をされていたほうがよろしいかと。現在、マーダ教はどうしても不利な状況ですから」


 俺の思惑を汲み取ってくれたのか、カーライルがジランドに向き直った。こっちの思惑がどうあれ、自分たちがマーダ教だと周囲に知られたら困るのは結局のところ、事実だから。

 ただ、ジランドは少し困ったようにこちらを見た。マーダ教に関して素知らぬ顔、ということは俺たちに何かあっても知らん顔してろ、ってことだって分かったのかな。


「いいのか?」

「コータちゃまにはぼくたちがついてるですから、だいじょぶです」

「おにいちゃんとなかわるくなるの、ミンミカいやです」


 そう尋ねてきたジランドに対しては、ウサギ獣人の兄妹が分かりやすい言葉で答えてくれた。つまり、自分たちがいるから知らん顔してても大丈夫だよ、ということだ。ジランドにだって、今後の生活ってもんがあるし。


「コータ様には、自分やカーライルもいる。ジランドは安心して、牛車を操れ」

「わたくしもおりますから、そうそうおかしなことにはならないと思いますけれど」


 シーラ、そしてファルンもそう言ってくれる。この二人とカーライルは、俺に最初から付き合ってくれてるからな。ファルンは俺が吹き込んだからだけど。


「……皆さんがそうおっしゃるんなら、俺としてもただの牛車の主をやることにしますよ。ただ、状況を考えて動きますけれどね」

「そうしてくれると、こっちも助かる。状況次第じゃ、俺たちだってお前たちのことまで考えてられなくなるだろうし」

「コータ様たちは、自分たちを第一に考えてほしいっすよ」


 ジランドが頷いてくれたので、ちょっとホッとした。俺の正体があちらにバレたら、ほんとに俺は他の連中のこととか考えていられない可能性だって出てくるからな。コングラにもそれが分かってるみたいで、あーよかった。

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