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177.実際のところを聞いてみる

 しっかり吸って吹き込んだ後、俺たちは僧侶さんから話を聞いた。サヴィッスの街にある教会、その地下のことを。

 まあ、ぶっちゃけマジな話だったようだ。


「じゃあ、本当なんだな」

「はい。教会一階奥の階段より、中に入れる構造になっているそうです」

「通り道あるの? 便利だな」

「ただし、地下への入口は上からしか開けられない構造になっていて、これまでも犯罪者をそこに閉じ込めたままにしたことがあるとか」

『うわあ』


 何それ、思わず俺たち三人声揃えちゃったよ。

 わかりやすく、マーダ教信者のための罠じゃねえか。これまでに閉じ込められた犯罪者も、多分そうだろうし。もしくは、宝があると勘違いしたアホンダラ盗賊とか。

 ……あれ。ベタな話だけど、生贄捧げるパターンて前にあったよな。んなとこで人死んだら、俺への生贄にならないんだろうか。いらないけど。


「それ、邪神に対する生贄とかにならないの?」

「祭壇などは破壊されている、と伺っておりますが……実際に中を見たことがありませんので、何とも」

「まあ、ちゃんと儀式ができないようにしてあるのでしょうね。そうでなければ、罠に使う意味がありません」


 僧侶さんも、さすがにそこまでは知らないか。カーライルが言ったように、ちゃんと処理してあるのは間違いないだろう。


「確かに。マール教の教会の下からマーダ教の存在が出現したら、洒落になりませんものね」

「やってみたいけど、俺以外に出てくるやついるのかなあ」


 ファルン、面白そうだからそういう提案するのやめて。でも実際、俺じゃないやつで異世界とかそういうとこに飛ばされてるやつ、いるのかなあ……分からん。

 しかし、聞いておいて何だけど、ここボートランなんだよね。サヴィッスの教会、それも地下の秘密みたいな話がこっちまで伝わってるんだ、というのは軽く疑問だったんだけど。


「よその教会にも出入り口や構造の話が来てるってことは、それなりに罠として利用できてるってことかな」

「マーダ教信者が自分ならできる、と挑戦してくるのを待っている、ということですね」

「わたくしどもマール教側としましては、マーダ教信者が自らやってきてくれるのを待ってとらえれば良いので、サヴィッスの話についてはさり気なく流して良い、と上からお許しを頂いております」


 カーライルの推測を裏付けるように、僧侶さんが思いっきりぶっちゃけてくれた。ああ、やっぱりその話を撒き餌にして待ち伏せしてるんだ。なるほど。


「ただ、そうやってきてくれない信者もいるから教育部隊が、うろうろ探してるわけだ」

「マール教もマーダ教も、慎重な方々はいらっしゃいますからね」

「そうですわね。マーダ教は長く迫害されておりますから、余計に慎重になりますでしょう」


 ファルンと僧侶さんがのほほんと会話すると、割とどっちがどっちかわかりにくくなるな。いや、声は違うからいいんだけど。ここの僧侶さん、雰囲気がかなりファルンに近いから。


「ああ。そういえば、お気をつけくださいませ」


 ここの僧侶さんの方が、ふと思い出したように俺の顔を見た。


「教主様の思し召しにより、『翼の姫』ルッタ様がこの近辺の巡回においでになります。そういう連絡を、先日神都サブラナより受けましたので」

「お、おう。分かった」

「承知しましたわ」

「分かりました。ありがとうございます」


 わあ。

 『翼の姫』ルッタ、シーラが微妙にライバル意識持ってる相手だ。うっかり鉢合わせしたらどうしよう……と思ってたら、カーライルが「コータ様」と提案をしてきた。


「シーラ様には、伝えておいたほうが良いかと思うのですが」

「そうだな」

「いきなり斬りかかったりなさっては、ことですものね」


 シーラ、カーライルやファルンに心配されてるぞ。少しは落ち着け、俺の配下だろうが。

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