表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
164/432

163.考えてみりゃある話

 おっと。立っているのがマール教信者なら、ほうっておくわけにはいかないな。


「シーラ、立っている連中を拘束。始末は後で考える」

「は」


 急いでシーラに指示を出すと、彼女も分かってくれた。とんと軽く地面を蹴っただけで、後は僅かに翼を羽ばたかせながら飛び回ってマール教信者の腹に拳入れつつ回収。「ミンミカ、アムレク」とシーラに呼ばれ、ウサギ兄妹が慌てて立ち上がる。


「は、はいっ」

「腕と足をてきとーに縛り上げろ。逃げなければそれでいい」

「わかりましたー」


 楽しそうだな、お前ら。

 そいつらの服、というかベルトやらサスペンダーやらをミンミカが剥ぎ取って、それを使ってアムレクがくるくると縛り上げていく。都合三名、あっという間に終わった。


「ちょ、ええ、俺ら!?」

「待てよ、そこに僧侶がいるだろうが!」

「何で俺らが縛られなきゃならねえんだ、邪教徒め!」

「うるさいから口に布でも突っ込んどけ。窒息しない程度に」

「はーい、つめつめしますー」


 いやほんと、こういうチンピラって何でやかましいんだろうね。ミンミカが布詰め込んだらおとなしくなったけど。

 ……マント一枚、爪で引き裂いて詰め込んだんだよね……ウサギ獣人の爪って、地味に鋭いんだな……。


「あらあら、いやですわ」


 で、チンピラのマール教信者が拘束されたことでぱっと見、周囲に味方がいなくなったように見えるファルン。彼女はのほほんと頬に手を当てて笑ってから、しっかりとぶっちゃけてくれた。


「確かにわたくしはマール教の僧侶ですけれど、それ以上にコータ様の下僕ですもの」

「は?」

「コータって、嬢ちゃんだよな。お前さん、そっち系の力持ってんのか」


 コングラがぽかんと目を丸くし、ボロニア以下マーダ教信者組の盗賊も同じ顔になった。わかりやすくて助かる。

 で、ジランドに尋ねられて俺は「はい」と頷いた。間違ってねえしな。


「あ、吸うのも操るのも女の子だけと決めてますんで。例外は危険回避のためにしょうがなくやった一人だけで」

「……お嬢ちゃん、お友達と離れちゃ駄目だぞ、それは」


 危険回避、というところでジランドは何となく察してくれたようだ。そのロリコン野郎が実はサンディ家の当主だ、ってことまでは言わなくていいよな、これ。


「いやいやいやいやちょっと待てお前ら、今聞き捨てならない名前を聞いたぞ」


 おっと、何か言う前にボロニアが口挟んできた。聞き捨てならない名前……名前が出たのは俺だけど、別に俺の名前知られてるわけじゃないはずだ。アルニムア・マーダならともかく。


「そっちの姉ちゃん、今『剣の翼』て言ったよな!」

「言った」


 あ、シーラの方か。確かに『剣の翼』ルシーラットって名乗っちゃったよな。

 そういえば、それなりに知られているはずの名前か。


「それが何か」

「それってアレですよね、昔話に出てくる邪神の剣士ってやつ」

「我が先祖がお仕えしていた主の名を騙るな!」


 コンガラが茶化すように言ったセリフにかぶせて、ボロニアが叫んだ。

 ……やりい。シーラの配下みーつけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ