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159.この先どんな行程か

 ジランドが手綱を持ち、その横にコングラが乗る。俺たちを後ろに載せて、牛車はメイメイデイの街を出た。

 僧侶さん、レイダ、後は頼んだぞ……なんて思いをちょっとだけ馳せつつ、これから向かう先にも意識が飛びそうになる。

 メイヒャーディナルの峠。俺の四天王、獣王バングデスタが倒された場所。現在で言うところの観光名所の一つで、多分近くに生まれ変わったバングデスタがいるであろうところだ。

 で、そこまでの行程なんだけど。牛車に乗る前に、ジランドたちから説明があった。


「大体二、三日ごとに街に着きまっさ。メイヒャーディナルの峠に一番近いクルンゴサの街までの間にボートラン、サヴィッス、ランブロードと三つかな」


 さて、この名前のどれが勇者由来なんだろう。全部、とか言ったら笑うけど。メイメイデイがメイデリア由来だから、俺の方の由来もあったりするのかね。

 ま、それはそれとして。カーライルがすばやく頭の中で計算して、大雑把な日数をはじき出す。


「すると、十日ほどで峠のそばの……クルンゴサですか。そこに到着ですね」

「そっす。天気が悪くなければっすけど」

「雨が降ると、徒歩にしろ牛車にしろどうしても足が遅くなりますから」


 コングラが苦笑しながら頷いて、その理由をシーラが即座に言い当てる。ああ、今まで結構いい天気が続いてたけど、そりゃ雨も降るはずだよなあ。

 いい天気が続いてた理由の一つは、コングラがあっさり口にした。


「もうちっとしたら雨季なんで、そうなると大変ですわ。その前には行けると思いますが」


 ああ、少なくともこのへんは乾季・雨季とかそういう季節変化なのな。四季に慣れてる俺からすると、何か変な感じだ。

 で、もうすぐ雨の多い雨季に入る、と。別にずーっと雨が降り続いている、ってわけでもないんだろうが、さてどうなるやら。


「よろしくお願いしますわね」

「任せといてください。そのかわり、山賊とか出たら頼んでいいっすか。一応親分も腕っぷしは強いんですけど、数で来るときありますんで」

「それは無論、お任せを」


 ファルンの柔らかい表情と挨拶は、だいたいの男に通じるので助かる。で、コングラもあっさり陥落した。ジランドだって、歯を見せながら肩すくめてやがる。案外、娘っぽい感じで思ってくれてるのかな。

 ……そうなると俺は、うっかりすると孫娘か。いや、それはないだろ。

 でまあ、コングラの頼みにシーラが頷いたので、フォローを入れよう。可愛い獣人ロリっ子ただし外見のみなんだから、こういうときに役立てなくてはな。


「シーラお姉ちゃん、とっても強いんですよ。悪い奴らをばっさばっさとやっつけるんです」

「おお、そりゃ頼もしい」

「頼むぜ、えーとシーラさんや」


 ばん、と思いっきりジランドに肩を叩かれて、さすがのシーラも「……痛い」とほんの僅か顔をすくめた。




 で、ここまでほとんどしゃべってないウサギ兄妹。難しい話はボヘっと聞いているだけだったし、今は。


「ところでウサギのお二人、大丈夫っすか?」

「ミンミカは、まだだいじょうぶですー」

「ぼくもだいじょうぶですよ!」


 おお、御者台のコングラからの呼びかけに普通に答えた。まだ乗り物酔い、大丈夫みたいだな。


「そりゃ良かった。このへんはまだいいんすが、クルンゴサとかその手前のランブロードあたりになると道が悪くなってくるんで」

『うわー』


 ただし、先が思いやられるけど。

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