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156.状況からみて考えた

「禁足地については、カーライル殿の動きが分かったので追跡しただけなんです。そこからこうなるとは、さすがに思っていなかったのですが」

「そうか」


 ファルンにそう言われて、納得はした。考えてみれば、俺のいた場所はどがいくつついても足りないくらいの田舎で、知らない者の動きはなんだかんだですぐ伝わる。確か、山で薪拾ってた人が痕跡見つけて知らせたとか何とか、だったっけ。


「もう少し慎重に忍び込めばよかった、と思っております」

「うん、多分そこじゃない」


 カーライルの考えはわからんでもないが、今言ってるのはそういうことじゃないね、うん。

 お前が忍び込んだのがバレたからファルンを下僕にできたし、シーラを配下にすることができたんだから。おう偶然ってすごい。

 ……この際、本当に偶然なのかどうかはさておく。関連のある場所に出てくるんだから、多分偶然じゃないんだろうけど……それなら、おそらくサブラナ・マールが何ぞやらかしたからだろうし。

 俺の顔が変な感じになったのか、カーライルはおずおずと覗き込んできた。


「コータ様。何か不安でも」

「んー」


 不安というか、何というか。ここには配下と下僕しかいないし、ぶっちゃけちまっていいよな。


「例えば俺がマール教側の人間だとして、だ。アルニムア・マーダの配下が生まれ変わって生きている、って話を耳にしてたらどうするかなって思ってさ」

「ほえ?」

「は?」


 ああうん、いきなり何言ってんだと思われるのはしょうがない。あとミンミカ、例によって空気読めてないのは分かってるからそのお間抜け顔はやめろ。


「もしそうだとしたら、コータちゃまはどうするんですか?」


 あ、珍しく読んでた。ウサギ娘すごい、偉い。というか、おかげで話を進められる。ありがとう、後でもふろう。


「確認取れないとは思うんだけど、マール教なら大概の街や村に教会がある。そこに極秘の指令を出して、怪しい連中を監視させることはできるよな」

「できますね」

「常駐の僧侶がおりますし、信仰心の強い信者も多くいますから」


 進めた話には即座にシーラが頷き、ファルンが難しい顔で言葉を続ける。まあ、ナーリアとかスラントとかここまで来る途中の僧侶は大概下僕にしておいたけど。あ、メイメイデイの僧侶はまだだ。明日でもゴチになっとくか。


「で、万が一その配下が誰かって分かったら、さてどうする?」

「手っ取り早く殺すか、そうでなければ」

「教主が自分の女にしてマール教側に取り込むか、ですか」


 ファルンと同じく難しい顔をしたカーライルと、それから額を抑えたレイダが次の答えを持ってきてくれた。

 レイダ自身、あの白いもや引っ張り出すまで一応普通の魚人してたわけだし、そういうことが不可能じゃないのは分かってるだろう。


「そういうこと。まあ、教主じゃなくてもグレコロンみたいに、俺と同じ能力持ってるやつが他にいるかもしれないしさ」

「コータちゃまがやってることを、こっちのみんなにやるってことですか」

「俺たちだけじゃなくて、これから会うかもしれないみんなにもな。アムレク」


 例え相手がロリっ子であっても、多分そうなる……というのはある意味最悪の事態だけど、そう考えておいたほうがいい。こうならなくてよかった、と後で思うためにもな。

 てか、まじでグレコロンのときはやばかったな、うん。

 だから、もう俺の配下たちがああならないようにしたい。こっちは下僕ある程度増やすけど、まあ邪神だし。


「レイダ。メイデリアである可能性の高い一家を、それとなく見守ってやれ。最悪やばくなったら、俺の名において保護して構わない」

「承知いたしました」


 とりあえずは、この街近辺にいておかしくない彼女に、あの三人を頼むことにする。さすがは四天王・海王ネレイデシア、即座に頷いてくれた。


「わたくしといたしましても、自身の部下をこれ以上マール教の手に落としたくはありませんもの」

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