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149.親子孫と昔の話

 お婆さんのお家は、銭湯からだと俺たちの宿とは反対側にあるということだった。

 なので、銭湯を出たところで彼女たちとは別れることになる。男湯に入っていたアムレクとカーライルと合流して、俺たちは彼女たちを見送った。


「それじゃ、またねー」

「では、失礼します」

「またの。お嬢ちゃんたちや」


 シャチ女三代、それぞれわかりやすく挨拶をしてくれてそのまま去っていく。こちらは世間一般でいう年寄りがいないので、普通に「ありがとうございましたー」「またねー」で終わるんだけど。

 で。


「宿で話したいことがあるんだけどさ」

「奇遇ですね。自分もです」


 人前では話せないよな、あの中の誰かが『水の舞』メイデリアなんじゃね? って話はさ。だから俺がそういうと、シーラも同意してきた。

 そういえば、もともとのルシーラットだったときにメイデリアと会ったことあるのかな、シーラ。後で聞くか。


「アムレク、カーライルも来てくれ」

「はーい」

「分かりました」


 アムレクは脳天気に、カーライルは何となく感づいたように答えてくれる。まあ、この二人は風呂の中の彼女たち見てないしな。




 宿の部屋に戻って、俺たちはまず男性陣にあのシャチ獣人一家のことを話した。それだけで、やっぱりというかカーライルは俺たちが言いたいことを理解してくれた。さっすが俺の神官、残念イケメンだけど。


「……多分、三人のうちの誰かがメイデリア様であろう、ということですよね。つまり」

「ですねー」


 アムレク、お前は分かってるのかね? ま、良いけどさ。

 単純に、シャチ獣人の女性が俺の前に現れた。それも親子三代。今までのパターンからいって、そのうちの誰かがメイデリアの生まれ変わりだという可能性は高い。

 確認するには、俺が吸うのが一番早いんだけどな。……三人まとめて吸ってもいいけどその、なんだ。

 メイデリアだって分かったら、ほぼ確実にマール教と戦うというか、そういうことになる。

 そういう状況にお年寄りと幼女はさすがに、良心がとがめる。デリリアだって娘のいる母親だし……まだあったんだ、俺の良心。


「レイダが会えば分かるかな」

「どうでしょうねえ……」


 元上司ということで、レイダと引き合わせたら分かるかなと思ったけどファルンに首を傾げられた。

 覚醒すりゃ分かるんだろうが、その前だしなあ。あ、そうだ。


「シーラは、メイデリアとの面識はある?」

「ほとんどございません。鳥人と魚人や海棲獣人では、活動する場所が違いすぎますので」


 尋ねてみると、シーラは軽く首を振った。だけど、少しだけ考えてからふと思い出したように、次の言葉を口にする。


「……一度、マール教の戦力が立てこもっていた島を攻めるときに会ったことがございました。多分、きちんと話をしたのはその時くらいかと」

「ああ。そりゃ、空と海と両方から行くよな」

「はい」


 なるほど、拠点のある島を攻めるときな。そりゃ、空軍と海軍連携したほうがいいだろ、とは何となく思った。陸続きじゃないから、陸軍は島にこちらの拠点作るまで無理だろうし。


「敵にも鳥人軍がありましたので、なかなか苦労しました」

「それは大変でしたわね……もしかして、スクランド島の戦ですか」

「そのとおりだ」


 ファルン、地名まで知ってるのか。ということは、マール教でも今に伝わっている戦闘の話をしてたわけか、シーラ。

 何というか、歴史の教科書に載ってる戦争の話を当事者から聞いてる、って感じだな。大河ドラマとか、な。

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