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148.シャチ幼女、獣をもふる

「ティッカ、何やってるの!」


 もふもふを堪能している幼女のところに、母親が慌ててやってきた。「大丈夫ですよー」と笑ってみせると、お母さん……デリリアは困ったように頭を下げてくる。


「すみません、うちの子が」

「平気ですー。わたしのしっぽ、お役に立てて何よりですよー」

「おかあさん、おねえちゃんのしっぽ、ふかふかふさふさしてるー」


 はたから見ると幼女二人がじゃれ合ってるのを困った顔で見る一方の母親、という図である。まさか母でも子でもないもうひとりのロリっ子が邪神様、なんてことには気がつかないだろう。気がついたらそいつは俺の配下か、敵だ。


「お嬢ちゃん、すまないねえ。ティッカは陸の獣人さんのふさふさ毛皮が大好きなんじゃよ」

「海の中だと濡れちゃいますもんね」

「まあ、お母さんまで」


 なんだかんだでお婆さんとは意気投合しちまったというか、うん。デリリア、呆れ顔になってるぜ。大変な親と娘だな、うん。


「ミンミカも、ふかふかだよー」

「……鳥の翼は気に食わんか?」

「あらあら」


 で、そこでミンミカが対抗してくるのはまだ分かる。全身ふかふか毛皮のウサギ娘だからな。

 何でシーラまで入ってこようとしてるのか、ここは突っ込んでもいいかな。あとファルン、のんきに笑って見てるだけかよ、お前。


「すみません、皆さん。娘だけでなく、母までお世話になりましたようで」

「いいえ。ちょうどいいお話相手になっていただけて、こちらは喜んでおりますのよ」

「いいじゃないか、デリリア。せっかく『封の舞台』を見学に来てくれた御一行なんじゃし」

「まあ」


 おお、デリリアをうまいこといなしてくれた。ファルン、というかマール教僧侶、こういうときは役に立つというか話がうまいというか。人相手にする職業だから、そういうのは得意なのかね。


「あそこは母の好きな場所でしてね。人があまり来ないので、静かでいいって」

「勝手なこと言うんじゃないよ。あんなとこ、見学じゃなきゃ道に迷ってしか来ないからねえ」

「よく言うわ。毎日毎日行ってるじゃないの、お母さん」


 あ、割とベタな親子の言い合いみたいな感じになった。でも、二人とも楽しそうな顔をしてるから、これは多分顔を合わせるたびにやってる習慣みたいなもんなのかな。普段はデリリアたち、海の方で暮らしてるわけだし。


「うさぎのおねえちゃん、ぜんしんふわふわふかふかでかっわいいー」

「ティッカちゃんも、おはだすべすべでかわいいですよー」


 ……いつの間にか幼女ことティッカ、ミンミカに抱っこされてるよ。いやまあ、俺よりちっこいんだから何の問題もないんだけど。

 後、俺落ち着け。あんなちっこい子を吸うのは何というかこう、人間やめることになる。いやいろんな意味でやめてるけど。

 姿形は獣人ロリっ子だし、その実は昔むかしに封印されて復活した邪神様だし。


「……コータちゃん……自分の翼は、子供受けしないのでしょうか……」

「ええと」


 それで、結局選ばれてないシーラが何故か涙目になっている。これ、どう答えりゃいいんだろうねえ。

 ひとまず、俺が楽しそうなことを答えてみようか。


「多分、シーラお姉ちゃんは抱っこして空飛んでくれたら楽しいと思います。あまり高いと怖いですけど!」

「はっ」


 何でそれで機嫌が復活するかな、『剣の翼』ルシーラット。

 上司のアルタイラだっけ、復活したら文句つけてやろう。うん、決めた。

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