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133.ほんに君らはすきものね

「コータ様?」


 こんこん、とノックの音がした。グレコロンの声だって分かったので、扉のそばにいるアムレクに頷いてみせる。

 がちゃりと開かれた扉の向こうから現れたグレコロンは、脱力してる従妹と彼女に絡みついてる使用人たちの姿を見て、満足そうに笑った。


「終わりましたか」

「ああ。ありがとうな、グレコロン」

「いえ。コータ様の御為ですので、当然のことです」


 にこにこしながら、自分の従妹を見下ろす目が妙に冷たいのが気になった。

 ……何と言うか、こいつはあまり信用しないほうが良さげかな、と思う。

 一応俺の下僕になったわけだけど、そもそもこいつ自身が俺と同じ能力持ちだしな。耐性あってもおかしくない、と考えるのは行き過ぎかね?


「ベルナダ」

「はあい、グレコロン兄様あ」


 そんなことを考えている俺をよそに、グレコロンはベルナダの名前を呼んだ。だから使用人ズ、その手を止めろ。夜にやれ、夜に。


「分かっているとは思うが、我々サンディ家は今後、コータ様をバックアップせねばならない。分かっているな」

「もちろんですわ……スラーニア、レフレティ、ん、あなたたちもっ、わかってるわねえ……?」

「当然です、ベルナダ様」

「私たちは、コータ様のために全てを捧げますわ」

「じゃあ、ひとまず発情するのやめろ。就寝時間になったら好きにしていいから」

『分かりました』


 あ、言ったら止めた。止まるもんだなあ、と我ながら感心する。それと、ベルナダも一緒になって返事したのはアレ、やっぱり元から三人でおたのしみでしたね、だったのか。

 おっと。一応、グレコロンも含めて注意はしておこう。


「このことは、マール教や外の連中には絶対にバレないようにな。俺たちだけじゃなく、お前たちの立場も危うくなる」

「はい。マール教よりもコータ様を優先するのは我々としては当然のことですが、それをマール教側に知られてはなりませんね」

「そういうことだ。万が一バレた場合は……」


 そこまで言って少し考えて、まあベタだけどこうしておこうと思う。前にもそう命令したことがあったはずだからな、俺。


「バレた瞬間、お前たちは俺に気を吹き込まれて以降のことは全て忘れろ。二度と思い出すな」

「承知いたしましたわあ、コータ様……」

「情報が漏れてしまったときには、我々は全てを忘れてコータ様のご迷惑にならないようにする、と誓います」

「私たちは、コータ様の下僕ですものね」


 ……うーむ。自分で下僕にしといて何だが、ここまで忠実になるのってすごいな。これをグレコロンは今まで、サンディタウンの住民とか旅行してきた獣人や鳥人にやってたわけか。

 今後は程々にしといたほうが良いかな。マーダ教関係者でこのくらい、金も力もあるやつがいると良いんだけど……今の世界じゃ無理だな、うん。

 ともかく。


「……ベルナダ・サンディ、当主グレコロンと共にコータ様の忠実なる下僕としてお仕えいたします」


 使用人たちのちょっとした暴走で衣服を乱した姿のまま、ベルナダは俺にひれ伏した。その隣でグレコロンも、改めてひざまずく。


「グレコロン・サンディ、サンディ家当主としてコータ様に忠誠をお誓い申し上げます」


 ……やっぱり、微妙に怪しいんだよなあ。うん。

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