131.すぐお隣の部屋の中
レフレティは、男性陣の荷物を片付けに行っているようだった。
ファルンとミンミカについては、もともとあんまり荷物ないから自分たちで持ってったみたいだな。……いや、主に俺の服が多いんだが……何でだ? 普通サイズの服は適当に手に入れやすいからかな? ま、いいけど。
で、俺たちもスラーニアを伴って男部屋に行ったわけだ。「こっちのお部屋、どうですかー?」なんて、外見ロリっ子って結構役に立つよね。
「あ、コータちゃま。いいながめですよー」
「コータちゃん。お部屋の片付けは、終わったんですか?」
と言っても俺たちの部屋の隣なんで、眺め自体はあんまり変わらないと思う。振り返ったアムレクとカーライルが、一瞬不思議そうな顔をしたのは多分、スラーニアが一緒にいたからだね。うん。
さて、目的のレフレティ。男二人分の荷物を部屋の隅に置いたところで、こっちに気がついたらしい。真っ先に声をかけた相手は、やはりというか同僚の彼女だった。
「ちょっとスラーニア、まだお仕事中でしょう? 早いわよ」
「すまん、レフレティ。新しい主のご命令だ」
「え?」
足音をほとんどさせずに目の前まで接近して、スラーニアはレフレティの身体を抱きしめた。おい男二人、目を丸くしながらガン見してるんじゃねえよ。違う意味でいい眺め、だってのは分かるけどさ。
男は放っておいて。そのまま、スラーニアがくるりと背後に回ってレフレティの両腕を背中側に固める。念のためにシーラも近づいていたけど、大丈夫そうだな。
「スラーニア! ちょ、一体何、んぐっ」
「おとなしくしろ、レフ。どうぞ、コータ様」
うん、同僚差し出してくれるのは良いんだけどついでにおっぱい掴んでるよ、こいつ。肉まんじゃないんだから、そんな無造作に掴まなくても。
「コータ様、もういただかれたんですか」
「グレコロンが良いって言うからさあ」
「コータちゃまのしもべがふえるのは、いいことですねっ」
「それで、下僕の初仕事が同僚を捕まえること。さすがは我らが主です」
カーライルに呆れられたのはまあ、仕方がない。ここに来て多分、まだ一時間も経ってないだろうし。それですでに一人ごちそうさま済み、二人目いただきます寸前だもんな。
アムレクは相変わらずだったけど、すばやく入り口まで行くと扉を閉めてくれた。おお、気が利くなウサギ兄。あとシーラ、よっぽど感心してくれたんだな。俺としては単に効率が良いし、こういった邪神ムーブもしてみたかったからなんだけど。
それはそれとして。
「では、こちらもいただきまーす」
「んー! んむうう、んふうっ!」
「あきらめろ。すぐに終わる」
レフレティの気は、さっぱりとした甘さ……えーと、和菓子みたいな感じだった。それを適度に吸い取り、代わりに俺の気を送り込む。
なお、地味にスラーニアの手がもみもみと動いていたのは見なかったことにしてやろう。下僕の夜の事情まで、俺文句つけるつもりないし。
「ごちそうさまでした」
「ニア、より、きもちいいかもお」
「コータ様なのだから、当然だな」
「いや、お前らもうちょっと頑張れよ。それからスラーニア、一応揉んでたんだからそっちかもしれないぞ」
何で、ごちそうさました後に下僕どもにツッコミ入れなきゃいかんのだ、俺は。
大体、外見ロリっ子中身は女に縁のなかった元社畜にキスされて精気吸われて精気吹き込まれて、それでパートナーより良いって絶対頑張ってないだろ、普段。
「……け、結構目の毒ですね……」
「うわあ、こうびしたくなってきた」
「カーライル殿は良いとしてアムレク、外で見繕ってこい」
見物客化していた三名の会話は聞かなかったことにする。そういえば、あっちの世界じゃウサギって性欲強かったんだっけ。こっちの世界でもやっぱりそうみたいだなあ。アムレク、一応雄ウサギだし。
「レフ。こちらのお方が、我々の新しい主コータ様だ」
「はあい……コータ様、に、忠誠を、誓いますう」
俺に従う言葉も、スラーニアに促されて口にするレフレティ。ううむ、こういうのも悪くないな。
「スラーニア。おっぱい揉むのは、あとで二人っきりになってからにしなさい」
「は、はい! 失礼いたしました!」