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124.はじめてのおとこがなんでこいつかよ

 いや、さすがに冗談じゃねえや。俺、吸うなら女の子からのほうが良いに決まってんだから。

 ここは一発、頑張ってみるか。


「冗談じゃないです、領主様」

「ん?」

「私、おじさん趣味じゃないの、でっ!」

「がっ!」


 おお、ちゃんと出たぞ衝撃波。領主、全く警戒してなかったから直撃食らって向こうの壁までぶっ飛んだ。

 さ、シーラが暴れるのを待ってられそうにない。急いで逃げようとしてソファから飛び降りた。


「ああもう、ここで失礼させてください!」

「げ、元気なリトル・レディだね……」


 懲りろおっさん、と叫びかけて口を抑えた俺の目の前で、領主は顔をひきつらせながらもゆっくり立ち上がる。腰さすってるから、一応ダメージは与えられたっぽいんだがなあ。


「しかし! 私はそんなレディが大変好みだ!」

「やっぱロリコンかあああああ!」


 のしかかってきた領主の口を、何とか自分の手で塞いだ。あー、このままだと力で負ける。シーラが来るまで保てばいいんだが、そういう事やってる場合じゃない、気がする。

 ……男も女も度胸だ。直接じゃないなら、まだマシだこんちくしょう。


「くぬっ」

「むっ」


 身体を軽く丸めてスカートの裾を引き上げ、口元に当てる。と同時に、領主が唇を押し当ててきた。

 同じ方法だとすると、多分まずは俺の精気を味見するだろう。……俺がそうだから。

 隙は、そこにある。


「ふううううううううううっ!」

「んんんんんっ!?」


 つまり向こうが吸いにかかるんだから、こちらが気を吹き込めば良いわけで。

 ほら見ろ、領主め。目を白黒させて、もがもがしてやがる。


「ふ、ううっ」

「んふっ」


 ぐわ、相手もさるものだ。逆に吹き込んで来やがった。あ、なんか、領主様、に、いらんわーい!


「ふーーーーっ」

「ん、ぐ、ぐふっ」


 再び吹き込んでやる。伊達に邪神はやってない、よし勝った。

 領主は一度くわりと目を見開くと、そのままおずおずと顔を離して、俺の足元に土下座した。


「かわいいリトル・レディ……いえ、リトル・クイーン。どうぞ、下僕を足蹴にしてくださいませ」

「え、やだ」


 しまった、どえむがここにもいた。何この世界、そういうのばっかりなのか?

 ……ネッサ、元気にやってるかなあ。やってくれてると良いんだけど。

 そんなに昔の話ではないはずなのにひどく懐かしく思っていると、扉が蹴り破られた。どかーんと。


「コータちゃん!」

「コータちゃま!」

「あ」


 シーラ、ミンミカ、遅いじゃねえか。

 初めて、男に吹き込んじまったぞ、俺。

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