123.もしかしたならお前もか
多分引きつってるんだろう俺の顔を、領主はどんな表情だと思ってるんだろうか。ともかく、満足げに笑ってそいつは俺に向き直り、尋ねてきた。
「何か、質問はあるかね? リトル・レディ」
「何でも答えてくれますか」
「さすがに我がサンディ家の資産運用法などは無理だがね」
「はあ」
んなもん聞いてどうするんだよ、こちとら外見ロリっ子実は邪神だぞ。いや、後半バレたらまずいけど。
ともかく、ほどほどなら聞いても答えてくれそうなので聞いてみることにしよう。
シーラが暴れるまで、もうちょっとありそうだし。情報収集は基本だからな、うん。
「どうして領主様は、鳥人や獣人をお屋敷に招待するんですか? 聞いた話だと、見回りするときのおつきの人たちが招待された人たちだっていうんですけど」
「もちろん、それが彼らのためになると思ったからだよ」
本当に答えてくれたよ、本気で自分の言ってることを信じてる顔で。
うわあ、こういうタイプ嫌なんだよなあ……か、顔が思いっきり引きつる。
おまけに「君も幼いながらも知っているとは思うが」なんてキメ顔で続けてくるからな。何というか、違う意味で聞いた俺が馬鹿だった。シーラ、早く暴れてくれ頼む。
「マール教が世界を守るようになってからもう長いけれど、マーダ教の手下となった者が多い獣人や鳥人は未だに差別の対象となっている。サンディ家としては、これを放っておけないからね」
といってもまあ、領主の言ってることも間違ってはいないわけか。ナーリアでの扱いとか、こう、いろんなもんあったからなあ。
俺が平気で旅できてるのはカーライルやシーラたちがいるからなのと、気を吹き込んで下僕にする能力があるからだし。
「君と一緒に来たお友達も、今頃は私の考えに賛同してくれているはずだ。このサンディタウンで、領主である私の部下として優遇され、穏やかに生きることができるんだからね」
……ところでこの領主、まさか俺と同じような能力あるとは言わないよな?
というか、能力あってもおかしくないけど使い方まで同じとか言わないよな?
なんかどんどん距離詰めてきてんだけどさ。
「君はまだ幼いようだ。これからじっくり、レディとして育ててあげよう」
「は?」
「私は君のような色の肌が好きでね。ほとんど見ないんだよ、こんなに可愛らしいのに」
「……っ」
いやいやいやいや。イケメンが決め顔してもきしょいだけだって!
あと、何で俺の頬をゆっくりと撫でて、それで嬉しそうにしてるんだロリコンかー!?
「どうかな? 私の養女として、サンディの家を継いでくれても構わないんだよ。リトル・レディ」
「何でですかっ」
「だって、とても愛らしいからね。その声も、顔も、身体も。ただし」
おい、両方の頬に手を当てて顔を近づけるな。これはやっぱりあれか、俺と同じ能力を、俺と同じ使い方でってやべえええええ!
「中身だけは、私の言うとおりになってもらおうね」