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118.遠いとこから眺めてみれば

 そんなわけで、翌日の見回りの日とやらは教会から出ないことにする。ただ、領主ってどんな人なのか興味はあったので、一人だけ見に行ってもらうことにした。


「コータ様、私の視界を是非ご利用くださいませ。では行ってまいります」

「カーライルさん、いってらっしゃーい」


 この場合の適任って、やっぱりカーライルだと思うんだよね。俺の神官だし、人間だから領主の目に留まる可能性は低いし。

 で、アムレクには俺たちの部屋に来てもらって窓から外をうかがう。地味に道広めなので、結構見物客が多いのが分かる。


「コータ様」


 シーラがその道の向こう側を見て、俺の名を呼んだ。一応窓枠に隠れて見てるから、なかなか見えにくいんだけど、そろそろ来たかな。


「あれが領主のようです」

「おう」


 ファルンは平気だから、窓から堂々と外を見てシーラが見ていた方を指差して教えてくれた。ああ、人混みが割れて何かきらびやかな塊がやってきてるな。あれかー。


「カーライルさんがおいでのあたりに、もう少しで差し掛かります」

「わかった、ありがとう」


 そう教えてくれたファルンにお礼を言って、意識をどんとカーライルのところに飛ばした。

 意外にこの能力、便利かもしれない。一人でも配下がいれば、そいつんところから見られるし。

 おお、見えた見えた。前に人が少ないってことは、結構いい場所取ってやがるな、カーライル。俺のためか、さすが神官。


「………………うげえ」


 そうして視界に入った領主とやらは、ひどくきらびやかで神々しい、なんていう言葉がそこまで当てはまるのがすごいキンキラどイケメンだった。マジか。

 カーライルの髪より淡い色の金髪を風になびかせ、空より濃い青の瞳が爽やかに微笑む。白を基調に金の縫い取り、様々な宝石で飾られた騎士のような衣装が何でここまで似合うかね、この男は。


 でもってちょっと不思議なのが、その周囲を守る衛兵……だろう連中が、残らず獣人や鳥人であることだな。こちらは獣人がカーキ、鳥人が紺の制服っぽい衣装で統一されてる。領主の着てる衣装の簡略版っぽい。

 足並みが完璧に揃っているのも、ものすごーく怖い。何というかなあ……ロボットが歩いてる感じ? いや、こっちにそんなのいないと思うけど。……ゴーレムとかはいるのかね。


「……うわあ」

「おかえりなさーい、コータちゃま」


 意識が戻ってくると、当然のようにミンミカの膝の上だった。お前いつ乗せた、いやゆうべ吸ったしいいけどさ。


「いかがでしたか。領主はご覧になれたようですが」

「何というか、ものすごく男前すぎて気色悪い」


 シーラの質問に、素直な感想を述べる。はて、とアムレク込みで全員首を傾げるのもどうかと思うんだが、そんだけイケメンすぎて怖かったんだよ。いやほんとに。


「ただ、何というか招待された人がホイホイついていく理由は分かった気がする。あと、住民に人気があるのも」

「そうなんですの?」

「人を引きつける魅力っていうか、そういうのがあるんだな。本人の人間性だか魔力だか、そこら辺は分からないけれど」

「まあ……ときおり、人間の中にも魅了の力を持つ方がおられるという話は伺いますが」


 あ、そうなのファルン?

 俺の気を吹き込むあれとか、サブラナ・マールの十八禁なあれとかとは違う能力、だよなあ。見ただけで惹きつけられるとか、そういうのって。

 ……何というか、面倒な相手かもしれない。この際敵か味方かは置いといて……あんまり味方にしたくないな、敵でもいやだけど。


「カーライルさん、だいじょうぶかな?」

「うーん……」


 はっ、それがあった。

 本人立候補して行ったんだから、ちゃんと戻ってこいよ。……ちょっと覗くかな?

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