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113.ウサギ娘とのんびり会話

 ふっと、気配を感じた。というか隠してねえし、あの大雑把感。


「ミンミカ、こっちー」

「コータちゃま?」

「おや」


 カーライルも苦笑したってところを見ると、さすがにバレバレなミンミカの気配は分かったみたいだな。大丈夫か、草食系獣人。

 そんなことより、木の間をするするっと抜けてきたミンミカは俺たちを確認すると、垂れ耳をゆらゆらさせながら跳ねるようにやってきた。


「あ、いたですー」

「どうせ、声や音で分かってたんだろうが」

「もちろんです。だって、コータちゃまですもん」


 うむ、サラッとそう答えてくれるのが彼女とかアムレクのいいところだよな。嘘付いてるとはどうも思えないこのキャラ、何というか安心する。

 カーライルやシーラだって、信頼してないわけじゃないんだよな。大事な俺の配下だし。ファルンは……吹き込んだのの効力がもし切れたら怖いとは思ってるんだが。だから、こまめに吸って吹き込んでるけど。


「くんれんですか?」

「ああ。ちょっとでも役に立てるようにならないと、って思ってな」

「んもー」


 それはともかく、ミンミカが尋ねてきたので素直に答える。相手が素直だと、こちらもそうならざるを得ないよな。

 その素直な答えに、ウサギ娘はぽおと頬を膨らませた。こうやって見るとリスっぽくも見える……まあ、リス獣人がいれば近い種族だろうし。


「コータちゃまはふつうでいいんですよ? シーラさまやミンミカがいるんですから」

「アムレクは?」

「おにいちゃんは、ちょっとよわきなので」


 大丈夫か草食系獣人男性。実の妹に『ちょっと弱気なので』戦力外通告されてるんだぞ。もっとも、もう少ししっかりしてくれたら結構頼りになるとは思っているんだけどな。


「……ミンミカ、私は」

「カーライルさんはしんかんさんで、いくさをするひとではないです」

「はあ……」


 おお、きっぱりと言ってのけたぞ。なるほど、神官は戦をする人じゃない、か。

 ファルンも僧侶だから、一応戦力外と思って差し支えないかな。大規模な戦争になればそうも言ってられなくなるだろうけれど、今のうちは。


「そろそろおやすみしましょう、あしたはサンディタウンですよー」

「そうだな。カーライル、行くぞ」

「はい」


 ミンミカが来てくれたのは、どうやら早く寝て明日の旅に備えようということらしい。ま、確かに明日にはサンディタウン、新しい街に到着するんだもんな。

 今回は山賊もはぐれマーダ教信者も襲ってこなくて、大変平和な道中である。いや、明日到着するまで油断してはいけないんだけど。


「あたらしいまちは、わくわくするです!」

「そうだな」

「そうですね」


 ミンミカ、何というか一人で浮かれている。案外、アムレクあたりも喜んでいるのかもな。このへんは兄妹だから、思考回路も似てると思う。


「よし、早く寝よう。街についたら、いろいろ見て回らないといけないからな」

「はいです!」

「そうですね。今度ははぐれないようにしないと」


 本当だな。ドンガタの村よりきっと人は多いから、うっかりはぐれたら本当に大変なことになりそうだ。

 ………………抱っこ戦法とるか? 外見ロリっ子だからこそできる技だけどな。

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