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009.可愛い服に着替えたら

「お持ちしました。さあ、殿方は外でお待ちになってくださいませ」

「わ、わかった。コータ様、私は建物の周りを見ております」

「頼むぞ、カーライル」


 ひとまず、男ということで体よく叩き出されたカーライルを見送ったあとで俺は、ブランナが持ってきてくれた服に着替えてみた。ちっぱいなのでブラジャーはなし、パンツは……これ、褌と言わねえかな。まあいいけどさ、すーすーしてたし。


「コータ様、髪の毛かきあげてくださいね」

「こうか? 結構多いな」


 で、白系のかぶって着るワンピース。背中側が編み上げっていうのか、スニーカーの靴紐みたいな感じ。襟元でリボン結びは、ファルンがしてくれた。

 脱ぐ時はこれと、ウエスト部分を締めてるリボンを外してゆるめればいいみたいだな。角生えてるけど、頭に沿ってるんでこういうときにじゃまにならないのはありがたい。


「ここからしっぽを出すことができます」

「ああ、シーラの鎧とおんなじような感じか。なるほどなあ」


 お尻のちょっと上あたりには、腰のリボンや他の布でうまく隠れるようにしてしっぽ出し用の穴があった。獣人族とかの、しっぽ持ってる種族用の服を選んでくれたらしい。ありがたいぱたぱたぱた。

 で、長い髪をポニーテールにしてもらって終了。角としっぽがあるだけの可愛らしい褐色肌少女、ってこれ俺だよねえと鏡をまじまじと見てみる。


「よくお似合いですわ。肌の色が濃くていらっしゃるので、明るい服を選んでみましたの」

「お、おう。ありがとう」


 しかし、ブランナ結構楽しんでないか? 田舎の村だと、女の子着飾らせる機会少ない……んだろうなあ。

 ファルンも喜んでるみたいだし、シーラも表情はあまり変わらないんだけど、大きくなった翼がぱたぱたとご機嫌そうだし。


「さすがですね。身体の小さい獣人族用の服がちゃんとあったんですもん……それに、コータ様にはお似合いですし」

「この村近辺じゃあんまりいないのか? ファルン」

「そうですよ、用件がなければ来ませんから。シーラはちょっと特別というか」

「自分は剣士ですので」


 なるほど、必要性があまりない服ってことか。まあ、よかったよ。

 女性が見てる教会ってことで、俺の前にある鏡は全身が入るでっかいやつ。そこに映った俺、アルニムア・マーダはまあ見事にロリっ子であった。つか、まじで髪の毛銀と黒に分かれてるよ。前髪から耳のあたりまでが黒、その後ろが銀。境目は地味にグラデっぽいなあ。

 なお、目はよく見ないと分からないけど暗い赤だった。おう、結構ベタな設定だな。設定いうな、今の自分だこれは。


「じゃあ、カーライルにも見てもらうか。また慌てるかもしれないけど、あいつ」

「あわあわ言いそうですね」

「では、自分がそのあわあわ男を呼んできましょう」


 お前ら、カーライルいじるのも面白がってるだろ。女ばかりのところに男が一人、だしなあ。しかもシーラよりは弱いっぽいし、シーラに様つけて呼ぶやつだから変に反撃されないものな。


「な、なんと愛らしいっ」

「だから何でそこでひざまずくんだよ」


 でまあ、呼ばれてきたカーライルはあわあわ、というよりはうるうる、の方が合ってるような反応だったけどな。

 俺の前にひざまずいて手を取って、すんげえ嬉しそうな顔してるんだから。


「頑張って御魂を呼び戻し申し上げた甲斐があったというものです。これで先祖たちも、一族も少しは浮かばれましょう」

「大袈裟だな、おい」


 まあ、こいつは俺の信者だったせいで一族亡くしたっつってたもんな。しかし、服着たくらいで浮かばれる一族ってどんなだよ。

 ……いや、こいつの一族だから似たような性格の連中もいたりするんだろうか。

 ま、それはそれとして。


「そういうカーライルも、よく似合ってるぞ。見た目だけは男前度がアップしてる」

「あ、ありがとうございます!」


 だからそこで泣くなっつーの。

 カーライルはある意味俺と対照的に金髪碧眼、肌の色も薄めだったせいかちょっと濃い目の色の服を着ている。少しくすんだ青というか紺の上着に同じ色のチノパンみたいなの、革のベルトや留め具などで引き締めてる感じ。

 見た目はほんとイケメンなんだけど、どうも言動がなあ。今更ながら、大丈夫かね。


 いやまあ、シーラもファルンもいるし、大丈夫だとは思うんだけど。うーむ。

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