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プロローグ 「バンドストーリーは突然に」

「僕は、軽音楽部でバンドライフを送るぜ!」


 そう意気込み叫びながら廊下を走っていた。


 僕の名前は岩崎恭介(いわさききょうすけ)、高校一年生。


 中学生時代からバンドを組むことが憧れだった僕は、その夢が叶おうとしている。もちろんやるのはギター。


 高校生でロックバンドを組んで、同じ思いを持った仲間と一緒に音楽を楽しむための部活。僕にとって軽音楽部というは、そういうものだと思っていた。


 しかし、それも音楽室に入って数秒で打ち壊される。


「おっ、入部希望?まあ、中に入んなよ」


 いかにもガラが悪そうな上級生が、僕にそう話す。中に入ってみると、最初に出てきた生徒と同じような格好をした連中がたくさんいる。


 ーーなんだ、こいつら。


 音楽とは無縁そうにも見えるが、僕はとりあえず自己紹介をする。


「岩崎です! バンドが組みたくて、入部しようと思いました。 よろしくお願いします」


 そう大きな声であいさつをした後、部室からクスクスと笑い声が聞こえ始めた。


「あー、なるほどね。けどさ、バンドをやるような顔に見えないよね」


 僕の顔をじろじろ見ながら、一人の生徒がそう話す。


「そうそう、見た目が良くないとだよな」


 ーーバンドをやるのに、見た目は関係あるのか?


 たしかにテレビなんかで見るバンドマンは、かっこいい人ばかりだ。だからといって、学生のバンドは話は別だと僕は思った。


「俺たちは女の子にウケるように、ヴィジュアルにもこだわってるんだよねー。けど、君は……」


 と言いかけて、また僕の顔を見る。


 君はそれとは無縁ーーそう言われているような視線を強く感じた。


「いやいや……そんなのは関係ないっすよ! バンドをやりたい気持ちとか……」


「あー、そういう熱いのとかいらないんだよなー」


 本当にここは軽音学部なのかと、疑ってしまうレベル。あまりにも、自分と思っていたのとかけ離れていた。


 次第に僕の中で、怒りが込み上げてくる。


 それでもなんとか入部させてもらおうと話したが、まともに聞いてもらえない。


「バンドで重要なのは、顔だよ顔」


 その一言が、ついに僕の怒りを爆発させた。


「ふざけんな! なにが顔だ、そんなのはバンドマンじゃねーよ!」


 いきなり大声を上げ、その声が部室に鳴り響く。


 気がつけば入部届けを投げ捨てて、部室を出て行った。長い廊下を歩くと、僕はため息をつく。


「やっちまったなー、どうしよう」


 勢いよく飛び出したが、後悔が頭をよぎる。ろくでもない軽音学部だったが、完全にバンドライフが途絶えてしまった。

 他にバンドを組めるような部活はなく、どうすることもできない。


「これからどうしようか……」


 適当な部活に入るのもどうかと思った僕は、途方に暮れる。


「おい、岩崎。どうした?」


 廊下を歩いていた、担任の山本先生が声をかけてきた。


「先生ー、実は……」


 先ほどのいきさつを先生に話した。話を聞いた先生は、しばらくなにか考えているような顔をしている。


「音楽の部活……ねえ。まあ、あるにはあるがなあ」


「本当ですか?あるんなら教えてくださいよ!」


 こうなれば、なんだって構わない。バンドができそうな部活ならば。ワラをもつかむ思いで、僕は先生に頼み込んだ。


「けど、岩崎に合うだろうか? まあ……ついてきなさい」


 歩き出した先生の後を、僕はついていく。校舎の二階まで行き、奥にある教室が見えてくる。


 ーーガラガラ。


 先生はドアを開け、中に入っていく。教室からは、変な音楽が聴こえてきた。


「おーい、新入会員の希望者を連れてきたぞー」


 そう言って先生は、僕を教室に入るように手まねきをする。僕は言われるがまま、教室に入っていった。


 教室の中には、四人の生徒が椅子に座っている。


 生徒の姿を見た僕は、目がギョッとする。


 普通の生徒とは違く、どこか雰囲気が根暗っぽい。


 まるで、テレビで見るアニメオタクのような姿をしていた。


「へえ……よく見つけてきましたね? 先生にしては珍しい」


 メガネをかけた生徒が、腕を組みながら先生に尋ねている。


「きっ、君は入会希望なのかい?」


 小太りで、パンを食べている生徒が僕にそう話しかけてきた。


「え? いや、その……」


 音楽に関係ある部活に案内してくれると思った僕は、返事に困る。


 すると、おかっぱ頭の生徒が大きな声を上げる。


「ようこそ! 僕らの音楽研究同好会へ」


 ーー音楽研究同好会? なんだそれ。


 一度も聞いたことがない同好会の名前に、僕は首をかしげる。


 そんな僕に構うことなく、おかっぱ頭の生徒は話を続ける。


「僕らは、 アニメやギャルゲーの音楽をもっと世に広めたいために活動しているんだ」


「……はっ、はあ」


 まるでマシンガンのように、早口で同好会の説明をしている。僕は、ただ一言そう口にする。


「日本の音楽業界は狂ってやがる! なぜ、ランキングにギャルゲーソングがない? なぜ、テレビでライブが見れないんだ!」


 おかっぱ頭の生徒が熱く語る言葉に、他の人たちもうなずいている。


「こんなにも素晴らしい曲が、たくさんあるのに!」


 そう話し終わると、黒板があるところまで歩いていく。他の生徒や先生もだ。


「君にも、ぜひ曲を聴いてほしい! ギャルゲーソングの素晴らしさを」


 どこからか楽器を取り出して、演奏をするような雰囲気だ。


「よし、先生! 曲のスタンバイだ」


 山本先生は、CDをパソコンの中に入れる。すると、スピーカーから音楽が聴こえてきた。


 ーーなんか、コミカルな曲だな。


 彼らが持つ楽器とは関係がない、電子音が鳴り響いている。


「いくぞ! 曲に合わせていくぜ!」


 ボーカルの声が聴こえ始めた時、彼らはそれぞれの楽器を弾き始めた。


 テクニックは全員がうまく、まるでプロのような音が鳴る。僕はその実力におどろいた。


 次第にCDの曲より目立つようになり、だんだんとアレンジが加わったような曲に聴こえてきた。


「すげえ……別の曲になっているようだ」


 だだCDに合わせるだけが、ここまで変わるとは。それよりも、楽器を弾く彼らの顔。


 ーーオタクな顔のくせに、すごく楽しそうに弾くなあ。


 楽しく弾く姿を見た僕は、なぜか心が躍る。こういうバンドを組めたら、きっと楽しいのだろう。


 演奏を聴き終わって、僕は叫んだ。


「僕、この同好会に入ります!」


 同好会に入ったら、きっとすごいバンドが組める。そう思っていたら、自然とそう口にしていた。


 素晴らしいバンドライフ。それを予感させる、彼らのと出会いだった。

作者からの一言。


完結済。


読んだ方々が、楽しんでもらえるよう頑張って書きましたので応援よろしくお願いします。


少しずつ改稿、修正をしていきますので、その点はご迷惑をおかけします。

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― 新着の感想 ―
[一言] "ーー軽音楽部で、 バンドライフを送るぜ!  岩崎恭介、高校一年生。僕はそう意気込み、廊下を走っていた。" 自己紹介は次の行にした方が意気込みが伝わると思います。 ーー軽音楽部で、 バ…
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