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孤独な少年に眩しい光  作者: 凛の風音
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事件の真相から

あれから家に帰った俺は、リビングでイチャイチャしてる二人を冷ややかな目で通り過ぎ部屋に入った。やっぱり、家に帰ると現実に戻される。まぁ、どれも現実なんだけど…。

秘密基地に夢華といる時だけはどこか夢を見てるかのような神秘的な気持ちになる。清水先生が言ったこと、夢華が酷く泣いていたこと、きっと何かあるんだ。知りたい気持ちはあったが、夢華にただ側にいてくれてありがとう。その言葉が嬉しくてそれだけで良かった。


「明日どうなるんだろうな〜。」


ベットに寝そべりながら呟いた。そしてそのままぼっーと考えてると高田くんの事が頭に浮かんだ。そうだ。高田くんは全てを知っているんだ。この事を彼に伝えないと…そして彼にも昔のように学校に来てほしいなぁ...そう思った。


「グ…グルグルゥ…あ~お腹すいたなぁ~」


お腹がすいた俺は一階に降り冷蔵庫に向かった。冷蔵庫を開けると母が近づいて来て静かに冷蔵庫を閉め俺に話しかけた。


「あぁ。貴方のご飯はね、無いわよ。」


その一言を告げ母はあの男の所に戻り和室へと姿を消した。姿を消しても男とイチャついてる声は何とも汚く何とも哀れにしか思えなかった。


「ちっ。」


軽く舌打ちをし部屋に戻り、お財布を持って近くのコンビニに向かった。もうどこかあの二人に放ってかれる環境に慣れてしまった自分もいた。あの二人の力は借りない…そう思った。

コンビニの中に入った俺はおにぎり二つとお茶を手にしレジに進んだ。会計を済ませ家に戻る途中少し先に高田くんらしき人が歩いていたので後ろから追いかけ声を掛けた。


「あ、高田くんっ、俺、同じクラスの米山です。突然声掛けちゃってごめんね。少し話したいことあって今時間大丈夫?」


「えっ。あ。うん。いいけど…」


そう言い二人は公園に向かった。


「で、話ってなに?」


「あ、うん。あの事件の事なんだけど、高田くん何もやってないんだよね?守ったんだよね夢華のことを。」


「な、んだよ突然。…」


「あの事件解決したんだ。清水先生が犯人って分かって退職処分になったんだ。俺が夢華と協力して証拠写真を撮ることが出来て、それで校長先生が警察を呼んでくれたから詳しくは明日分かるんだけど、ちゃんとこの事高田くんに伝えたくて。だからまた学校に来ない?」


「…そうなんだ解決したのか…よ、かった…俺あの日からずっと辛かった。夢華とずっと一緒に居たのに何も分かってやれなくて一人で何もなかったかのように夢華は過ごしてて、だから自分が罪をかぶった事なんて痛くも痒くもなかった…伝えてくれてありがとう米山」


「いいのいいのこちらこそ。はい、おにぎりあげるさ。食べて!こっちこそ守ってくれてありがとな、じゃあ明日なちゃんと来いよ?」


「え、…いら…頂きます。分かったちゃんと行くよ」


そして二人は解散した。これが初めての会話だったのにそんな空気すら感じない程の自然な空気だった。


「おにぎり一つ減っちゃった…まぁいいっか」


家に着きゆっくり玄関を開け部屋に入っておにぎりを頬張った。


「美味しい…」


あっという間におにぎりを食べ終わってしまった。そしてふとお財布の中を見るとら中身は残り500円しかなく働かなきゃ。そう思った。でもまだ中学生にもなっていないのにどうすればいいか考えていると、俺の特技と自分で言っていいのか分からないが俺は昔から絵を描くのが好きでその絵をよく周りに褒められていた。それを活かせないかネットで調べていると…「素人さんの絵を募集中。採用された方にその場で賞金をお渡しします!」そんな広告を発見した。


「これだ。ここに出そう」


すぐスケッチブックを開いた。そして何故かすらすら絵が描けた。


翌日。学校に行く準備を済ませ夢華と待ち合わせをしていると、そこに高田くんの姿があった。


「ごめん。お待たせ、今日から優斗を入りまーす。あれ?てか目のクマ凄くない?大丈夫?」


「あ、昨日寝てなくてね…大丈夫だよ、よし行こっか高田くんも。」


「…笑 優斗でいいよ。はいはい」


三人は横に並んで楽しそうに学校に向かった。俺はいつしか大嫌いになった学校が今は俺の支えになっていった。---


学校に着くと、学校臨時集会が開かれた。校長先生が壇上に立って口を開いた。


「皆さんおはようございます。えー、今回臨時で集会を開いたのは六年ニ組の担任、清水先生の事です。えー、彼は諸事情により退職しました。詳しい事はまだ言えないが他の学校から新しく来てくれた先生がいるので紹介します。岩崎先生です。どうぞ。」


壇上の真ん中に立ち止まり、


「えー、岩崎美玲です。突然な事でびっくりだと思いますが、私と仲良く一緒に生活しましょう。どうぞよろしくお願いします。」


そこには若く美人な先生で挨拶を終えると男子達の歓声が湧き上がっていた。そして集会を終え夢華を励まし優斗とクラスに戻ると、他の生徒達は新しく来た先生に釘付けだった。もしや、これが校長先生の狙いかのように…。


俺は授業が終わりすぐ校長先生の元に向かった。


「校長先生、清水先生はどうなったんですか?」


「ちょ、米山くん…君には伝える義務があるか。彼はね警察に捕まったその日の夜に自ら命を絶ったよ。」


「え。そんな…。」


「これしか伝えられない。もういいかね。さぁ、もう次の授業の準備をしなさい」


「……はい。失礼しました…。」


余りの衝撃だった。これは俺の中だけに閉まっとこうそう思いクラスに戻ると、優斗の所に皆んなが集まっていた。


「優斗、ごめん。あの時、皆んなで攻めて。優斗じゃないんだよな。清水先生なんだよな。疑って本当にごめんな。来てくれて嬉しいよ。良かったら前みたいにもう一度仲良くしてくれないか?」


「み、みんな〜、嬉しいよ…よろしくなぁ。」



それを聞いた俺は、校長先生が必死で隠していたが皆んなにはバレバレだったのか。少し笑ってしまった。でもそんなことよりも皆んなと笑い合う優斗の声が嬉しかった。


「俺も入れてや!優斗だけかよ!」


そう言い、輪の中に入っていった。今言えることは前よりも素敵なクラスになっていったなって。そう思った。岩崎先生の注意する声が負けないくらいの笑い声が教室中に響いた。






















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