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孤独な少年に眩しい光  作者: 凛の風音
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事件の真相

あの日から秘密基地を知って僕は一ヶ月が経った。それからも僕は夢華と毎日この場所に訪れていた。ショートヘアだった夢華も肩まで髪が伸び、それもそれで可愛いかった。これは恋愛とかなのかはまだ分からないけどモテるんだろうな…どちらかと言えば憧れの存在になっていった。


そしてなにより僕は順調に学校生活を送っていた。だがそれよりあの不明の事件から、犯人の子は学校に来なくなってしまった事の方が僕は気になってしょうがなかった。

流石にこれはクラスの皆も少しは心配していた。

僕が不思議に思うのは、清水先生は僕が学校に来なかった時と違い、心配する気配が全く感じなかった所だ。

そして帰りの会が終わり僕はいつものように夢華との待ち合わせの場所に行った。このことを夢華に相談してみよう…そう決めていた。


すると丁度良く夢華が訪れた。


「ごめん、待ったよね。」


「あ、大丈夫だよ。あ、あのね、ちょっと相談したいことがあって…」


「それが私もなの…」


これは奇遇だった。夢華も相談したいなんて。でも何故だろう夢華の表情は少し怯えてる様にも見えた。そして二人は秘密基地に着き、いつもの様にベンチに座った。座ったと同時に夢華が口を開く。


「あのね…なんか最近誰かに狙われてる気がしてるんだよね…」


「え?どういうこと?」


「なんか誰かにつけられてる気がしてね怖いんだよね…だから私の後を見張ってて欲しいの。ここ二日、三日協力してくれないかな?」


「いいよ、もちろんだよ協力する」


「ほんと?ありがとう〜あ、じゃあ真也の話は?」


そう聞かれ、次に僕が話した。


「僕の事じゃないんだけど、ある事件でクラスの一人が学校に来なくなってね…誰も事件には触れないんだ…特に清水先生は心配する素振りすら見せなくて不思議に思うんだよね…」


「それって、優斗の事かな?優斗は私の幼なじみなんだよね。事件の日から連絡も通じなくなってね、心配して家にも入ってるんだけど、会いたくないって言われてどうも出来ないの。」


「夢華はなんの事件か分かるの?」


「うん、なんか学年の女の子の写真を盗撮したって噂だったけど、優斗は絶対そんな事しないと思ってるから真相を聞こうと思い行き詰まってる感じかな〜」


「じゃあ、二人で真相を突き止めない?」


「いいよ!いいよ!」


そして二人は計画を立てた。まず先に夢華の話から解決しようと思い、夢華が毎時間つけられてると思う時間に尾行する事にした。


「じゃあ、今日の習い事の帰り道なんだけど、それが夜の九時に終わるから、その後帰りに必ず寄るコンビニがあってそれを少し遠くで見てて欲しい…」


そう言われノートに地図を描き僕に渡した。


「分かった、九時にはその場所にいる」


「了解、ありがとねほんとに。じゃあ九時過ぎにね」


そう言いお互い解散した。僕は家に帰り玄関を開けると、一ヶ月間不在だった母とその男が帰ってきていた。順調だったのはこの二人が居なかったからが大きかったんだろう。一気に現実に戻された感が強く、静かにドアを閉め二階に上がり部屋に入った。


すると母が気づいたのか二階に上がってきた。


「真也、下に降りて来なさいよ。誠さんと話しましょう。」


「うるさい!何が誠さんだ。二階に上がってくんな。」


「そんなこと言っていいの?知らないわよ。貴方は私達がいないと何も出来ないんだからね。それだけは覚えときなさい。」


少し嘲笑うような感じで言われ一階に降りて入った。それを聞いた僕は昔の母とは別人になってしまってショックを隠しきれなかった。いや、これが本当の姿だったのかな。こう家のことを考えていると父さんのことを思う。そして手紙を思い出す。今の支えはそれだった。


それから何の会話も聞こえないようにヘッドホンで音楽聴き、ゲームをしながら時間が過ぎるのをひたすら待った。そして八時半。僕は少し変装して夢華が描いてくれた地図を持って外に出た。三十分くらい歩いたところで例のコンビニを見つけた。そこで僕は少し離れた電柱に隠れた。


すると十分後に言った通り夢華がコンビニにを訪れた。夢華も後ろをキョロキョロ確認しながらコンビニに入って行くのが見える。そして数分コンビニにで買い物し、レジを済ませ夢華は店を出て歩いてると、僕は唖然とした。その後ろには黒い服を着た清水先生の姿だった。


「な、なんで…嘘だろ…」


僕はすぐさまこの光景を写真と動画に収めた。すると携帯にメールが来た。夢華からだった。


「もう大丈夫。あの秘密基地に十時半に来て。私も後から向かうからそこで教えてほしい」


メールにそう書かれていた。僕はそのメールの通り秘密基地に向かった。ただこの事を夢華に伝えるのが何とも言えない気持ちで胸が痛かった。二十分歩いたところでようやく秘密基地に着いた。僕は始めて夜にここに来る。


「うわ…夜の森の入り口はいつもより薄気味悪いな…」


そうつぶやき少し早歩きで奥に進んだ。出口を抜けると、大きな月が照らされていた。


「うわぁ…綺麗だ…」


ずっと見ていられる景色だった。数分の間ベンチに座りひたすら眺めた。


「真也!遅くなったごめんね。うわぁ、今日の月綺麗…」


夢華も月に釘付けだった。


「あ、尾行した結果教えてほしい」


夢華に聞かれ、口を重く開き僕は答えた。


「あ、あのね…清水先生だった……」


そう告げ、携帯の写真と動画を見せた。


「嘘でしょ…なんで……」


そして僕はまた口を開いた。


「それだけじゃなく、夢華の写真を撮ってたんだよねね…。それで思ったんだけど、僕のクラスの事件の犯人清水先生なんじゃないのかな〜って。」


「え、じゃあ、撮られた人は私で、優斗は先生をかばったって事?」


「僕はそう思うんだよね…あの時の高田くんの泣き方もそれを見ていた清水先生も何かおかしかったからさ…」


「そ、そんな…分かっ…」


すると丁度いいタイミングで夢華の携帯の着信が鳴った。携帯を見ると、夢華は強張った表情で


「ごめん、もう帰る。ちょっと大事な用事が出来て帰るね。」


そう言い、僕達の話の途中で帰ってしまった。取り残された僕は家に帰りたくなく、一人で景色を見て昔のことを振り返っていた。


「そういえば小さい頃父さんに肩車されて綺麗な月を見せてもらったことがあるな…」


あぁ、また父を恋しく思ってしまった…夢華の事どう対処すればいいか一人で考え始めた途端またメールが来た。


「さっきは先に帰ってごめんね…あの事明日校長先生に伝えてほしい。」


そう夢華から来ていた。それをみた僕も了解と送信し、僕も明日の準備をする為森を抜け家に帰った。


そして翌日、いつもより早く学校に着き、校長先生に例の写真と動画を見せた。これを見た校長先生はあまりの驚きにとてと落胆していた。そして僕は校長先生に向けて


「清水先生を退職処分にさせて下さい。今後先生を続けるのは危険です。」


そう伝えた。


「ちょ、ちょっと待って…今から清水先生を呼ぶからこれが事実かどうかはっきりさせるよ…」


すると丁度いいタイミングで清水先生が校長室に現れた。


「お〜。真也も居たのか。校長先生どうしたんですか?」


「この写真と動画は本当なのかね?君は白石くんの事を尾行していたのか?ちゃんと答えてみなさい」


そしてそのまま写真と動画を見ると、さっきまでの清水先生が一変、にんわり笑いながら口にした。


「あぁ〜これ。そうですよ、俺の白石何だから何したっていいでしょ」


そうみんなに清水先生は放った。…


「な、なんだと、もういい。これを警察に届ける。お前は今日からクビだ。この学校から出てけ」


「米山くん。後は大人達が何とかするからもう出ていいぞ。」


そう言われ僕は部屋を出た。部屋を出ると、夢華が小刻みに震えて腕をさすっていた。


「夢華…もう大丈夫だから。一緒に行こうか。」


「う、うん…」


こんな弱気な夢華を見たのは初めてだった。すると清水先生が突然ドアを開け、僕たち二人を見て口を開いた。


「知ってるんだぞ白石。お前は虐待されてるってな…俺なら愛してやれるのに残念だよその傷を癒せなくて」


それを聞いた夢華は走って逃げてしまった。


「夢華、待って!…」


夢華の教室に行くと、夢華は荷物は無く、既に学校を抜け出したんだと確信した。そして何処にいるのかも…。


そして僕も荷物を持って外に出た。外は雨が降っていて、より一層夢華の事が心配になった。あれから必死で走って二十分、やっと秘密基地に着いた。びしょ濡れになって森の奥に進もうとすると、


「来ないで…お願い……」


雨の音にも負けないくらい夢華は泣いていた。それを見た僕はランドセルから手紙を取り出し夢華の近くまで行き、僕の話をした。


「僕ね、ある人の手紙で学校行けるようになったんだ。それまでの僕は引きこもりがちで、人と関わることに拒絶してた…でもそんなある日学年の皆が手紙を書いてくれたって届けてくれて、そん時は手紙をみて大して心配なんかしてねぇくせにって。馬鹿にしてたけど、ある人の手紙に注目したんだ。そこにはノートの切れ端で「大丈夫だから。」このひと言だけが書かれてて、何故か不思議と勇気が出た自分がいた。後からその送り主が分かったよ、夢華って。前にクラスに行った時、ノートが開きっぱなしで、そのノートに大丈夫だから。ってたくさん書いてあった。そんなに練習してたんだね、見たときは笑っちゃったよ…。本当はね手紙の主を見つけたら僕の気持ちの何が分かるんだって。言うつもりだった…でもあれで僕は少しずつ変われたんだ。だから今度は僕が変える。」


そう言いノートを取り出し「大丈夫だから。」と書いて夢華に渡した。


「え…」


「俺は夢華に救われたんだよ。今度は俺が救うよ。凄く辛いことがあったら、これを見て元気だしんしゃい

。俺はずっと味方だから」


そう言いながら大きくピースサインを送った。それを見た夢華は少し微笑みながら


「あれ?俺って呼んだ。僕呼びじゃなかったっけ?っふふ…ありがとね、すんごく元気出たよ」


「夢華、見て。」


そう言い、指を指した。指指した先には綺麗な大きい虹が架かっていた。


「すごい…虹だ…。綺麗だぁ…」


そして俺はまた口を開いた。


「前に夢華が言っただろ?辛くなったらここに来る。綺麗な景色見てそしてまた前を向くって。それが夢華なんじゃないかな?」


「そうだね…。それが私だね。……ねぇ真也?」


「ん?」


「ただ何も聞かず隣に居てくれてありがとう」


「な、なんだよ。いいのいいの。夢華は俺の…。ひ…やっぱり何でもないっ!よーし。帰ろっか?」


「えっ、なに〜?ひって… まぁ、いいや帰ろっか!」


そして二人はいつも通り仲睦まじく帰った。二人の後ろ姿を綺麗に照らす夕日がそれを物語っていた…。










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