9.友達百人できるかな
まあ、そうだろう。
あまり話したことのない、ましてや1回自分から振っている奴に友達宣言されても大抵の常識人なら目の前でドアを閉めるだろう。
しかしこいつは違った。
「高校でやっと友達できた・・・!」
あっさり俺を友達認定してくれたうえに、
「ズっ友だよ!」
という今どきの女子高生は使わないであろう言葉でもって歓迎(?)してくれた。
しかし、ハッと真剣な顔になると、声を潜め、
「しかしお兄さん、これまた大事な話があって・・・時間ある?」
「え、大丈夫だけど、どしたの?」
「まあ、立ち話もなんだから、どうぞ中へ」
言われるがままに赤川の家へ上がった。
正直に言うと中は狭く、玄関からすぐリビングが見えた。その奥には隣り合うように二部屋分のドアがあり、俺は右の部屋に案内された。
部屋の中は小綺麗に整頓されていて、シンプルかつ、女子高生らしい部屋だった。
本棚には今どきのファッション雑誌が並びその中には少女漫画に混ざり何冊かギャグ漫画もあった。
「そんな面白い本ないよー?」
と、背後から赤川の声が飛んでくる。
ほら座って、と敷かれた座布団の上に座り、赤川が話し出すのを待った。
「じゃあまあ、本題に入るけどさ、私って友達、今のところ辻村くんしかいないじゃん?」
「まあ、そうみたいだな。」
「はっきりいってさ、出遅れた感強いんだよね~。なんか今めっちゃ地味キャラじゃん私」
これまでの赤川の変わり様はただ出遅れてしまっただけらしい。少しほっとしたような、してはいけないような。
「つまり、友達がほしいって事?」
「そそ!そゆこと!だからなんか協力して!」
「・・・俺が?」
しぶしぶ、協力する羽目になってしまった。