4.何でいるんですか?
春休みは家から出ずにずっとゲームという至福のヒキニート生活であったが、高校からの課題という存在によって現実に引き戻された。
いや、もちろんギリギリに終わらせたが。
そして4月になり、あっという間に入学式当日になった。中学校の時は学ランだったが、高校からはブレザーとなるので、少しわくわくしていた。
事前に貰った紙を確認すると、俺のクラスはB組だった。時間も押していたので、自分の名前だけ見て教室に入った。
B組の教室は構造上一番端にあり、中学と違ってドアは1つしかない。その代わり窓は沢山あり、そこからは木々が生い茂っている。
俺が来た頃にはもうだいたいの人数が席に着いており、あと数名を待つのみだった。
その後もぽつぽつと教室に入って来て、あと少しで入学式に向かう、という時。
絶対にこの教室にいるはずのない人が、
いや、この学校にいるはずのない人が、
赤川奏が、現れたのだった。
見間違いかと慌ててクラスの座席表と照らし合わせると、確かに赤川奏の名前があった。
しかし、前と変わったところもあった。あの細身のメガネはなく、憶測だがきっとコンタクトにしている。それから最後に見たときより髪が伸びて、セミロングくらいにはなっている。
向こうは俺には気付いてない様子だったので、話しかけようかと思ったその時、タイミング悪く教師が入って来たので諦めざるを得なかった。
どうやらその教師は担任ではないらしく、明日の始業式で発表されるようだ。
出席番号順に並び、講堂へ向かった。入学式を行うなら体育館ではないのかと思ったが、まあ、学校の方針なんだろうと考え、言われるがままに席に着いた。