17.壱岐坂七不思議
「【壱岐坂七不思議】って・・・何ですか?」
新しく出てきたその単語に戸惑いを隠しきれない俺は先輩に聞いた。
「いや、さっき辻村君が言ってた七不思議の事だよ。代々この名前で呼んでるんだ。」
七不思議の名称に自らの高校を使うとは、考えた人は中々やるじゃないか。リズムも良くて個人的にかなり好きかもしれない。
「で、どこまで知ってるの?この話は」
言葉は冷静だが目をキラキラと輝かせながら話しかける先輩に軽く苦笑いしつつも、赤川が教えてくれた3つの話を教えることにした。
「なるほど。じゃあ今のところは【壁階段】と【地下3階】と【みなと】を知ってる訳か。」
多分【地下3階】はあの防空壕のことだろう。しかし、【伝説の生徒会長】が【みなと】というのはなんだろうか。これも代々受け継がれるものなのか。かなりややこしい。
「あ、【みなと】ってのは辻村君の言ってた【伝説の生徒会長】の名前ね。湊宗一。」
「あれ、でもその人って3年前に卒業しましたよね?もしかして、この話って結構新しいものなんですか?」
「ああいや、時代を追うごとに内容は変わるんだ。」
本当にややこしいな、この話は。
「残りの4つ、教えて欲しい?」
文字にすると真剣だが、にへら、とだらしなく笑うのはやはり風雅先輩らしい。
「教えて下さい!」
「えーどーしよっかなー?」
七不思議もそうだが、本当にややこしい先輩であった。