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ストーカー系男子が色々頑張る話  作者: すとれりちあ
10/20

10.友達百人近くできました

 その次の日から、赤川は学校に登校しだした。

 今までの出遅れを取り戻すかのように手当たり次第に話しかける赤川にクラスメートも困惑しつつ、しかしやがては受け入れていった。


「やったよ辻村くん!友達できたよ!」

 笑顔で話しかけてくれる赤川に思わず俺も笑顔になる。

「よかったな!ちなみに何人くらいできたんだ?」

「クラスの女子全員と、ほかのクラスの女子もみんな!」

 出来すぎだろう。やっぱりこいつのコミュニケーションレベルは半端ないと見た。舐めてかかってはいけないな、うん。ちなみに1学年はAからHクラスまであるのだ。


 クラスがある意味一致団結したところで、体育大会当日になった。珍しく校長の話は短く、三分もしないうちに終わった。この短さには寝ようとした赤川も驚きの表情を浮かべていた。

 クラス親睦リレー、百メートル走と続き、昼食を挟みようやく俺の出番である玉入れになった。

 列に並んでいるとトントン、と後ろから肩を叩かれた。振り返るとにっこりと笑う赤川がいた。

「やっほ」

「え、赤川さんこれ出んの?」

「うん!あんまり疲れないやつがいいかなって思ったからさ」

 体育大会なのに体力の消費を気にするところが、赤川らしいと思えた。

 玉入れの結果は学年1位という結果に終わった。疲れたくないと言っていた赤川が1番活躍していたが、テスト前に「全く勉強してない」と言うようなものだろう。俺も俺で投げた玉は大体入ったのでよしとする。


 その後もクラス選抜リレーや千メートル走など様々な競技が行われ、いよいよ最後の結果発表の時間になった。

 ちなみにここの高校は校庭がテニスコート位しかないので、体育大会は近くの競技場を借りて行っている。結果発表はそこの電光掲示板に発表されるのだ。

 生徒会長が順位を読み上げる。

「第3位 2年E組」

 言うが早いが、2年生のあたりから歓声が沸いた。

「続いて2位を発表します。

 第2位 1年B組」

 俺らのクラスではどよめきとその後に遅れて女子のほとんど悲鳴に近い歓迎が聞こえた。

 体育大会で1年がトップスリーに入ることはそうない。いや、まれである。

 俺はそばにいた宮部にやったな、と声をかけ、赤川を横目で見た。

 彼女は新しく出来た友達と笑い合いながらハイタッチをしていた。

 ほっとして宮部の方を向き直すと、ニヤニヤしながら、

「最近赤川とよく話してるけどさ、好きなの?」

 と聞いてきた。

「ただの友達だよ」

俺はそう答えたが、勿論今も好きである。その思いはきっとこれからも変わらないだろう。


 こうして本日5月13日、体育大会はめでたく幕を閉じた。来月のテストに向け、また平凡な日常が始まるのだった。

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