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冒険者達の・・・  作者: ううりゃあ
第一章よくある冒険の始まり
9/9

ダンジョン探索1

キース達 ダブステップ一行は、コペンの街を北へ出てツェート山脈を越えラスター平原の端にあるクオーレの眠る丘に辿り着いたのは、

コペンの街でクエストを受け付けて装備を整えた日から3日後の夕方であった。


途中、オオカミや、盗賊、オーガの群れ等に襲われるが


レベッカの本が飛び、キースの剣が舞い、ルースの短剣が切り裂き、エリカの魔法で焦土と化す

ダブステップ一行の前には、塵すらも残らなかった。



「今日は、ここをキャンプ地とぉするっ!」

とキースが宣言すると


「ブフゥ」

とエリカが吹き出す


「なあ、ここ3日間思ってたんだが何がそんなに面白いんだ?」

とルースが聞く


「ツェート山脈の宿が閉まっていて

ここがラスター平原で、我々は、この道端でテントを張ると言っているんだ!」



「やめてくださぃぃ笑い死にます。

 どうしてそう的確に

 ふはははは」


「だから、何がそんなに面白いんだ?」

釈然としない顔でルースは、自分とキースの分のテントを張っていく


レベッカは、薪に本をくべている

燃え尽きる度に同じ本を燃やしていく

世の中の本好きが見たら助走をつけてぶん殴りたくなる風景では、あるが彼女の魔本スキルにより燃え尽きても手元に新品になって戻ってくるのである。

しかも手元にある魔本自体から発火して薪に火をつける

彼女にとっては、当たり前の現象なのであった。


キースは、と言うと宣言したかと思うとレベッカとエリカの分のテントを張っていた。


そしてエリカは、ラスター平原の道中で出たオークから剥ぎ取ったオーク肉を切り分け

ツェート山脈で採取した香草を擦り込み

同じくツェート山脈の奥地で採取した、岩塩を

使い道の無くなった打金で砕いて馴染ませ

幾らか持ってきていた金串に刺して薪の直火の側で地面に刺して焼いていく。


そして、キースや、ルースがテントを張り終えた頃

肉もほどよく焼けて

一同、夕食となった。


「本当にエリカを仲間にして良かったっておもったわ!」

そうレベッカが革手袋をして良く焼けた肉を頬張りながら満足げに言う


「えっ?なんでです?」

エリカが不思議そうな顔で尋ねると


「そりゃあ、まあ、うん・・・」

キースは、いいづらそうにしてレベッカを見る

「冒険に出たら食べる物なんて焼き固めたパン数切れと干し肉しかたべられなかったから・・・」

と何かを誤魔化すように慌ててレベッカが言う


「うちのパーティーの料理センスは、壊滅的だからなぁー」

とルースが肉を齧りながら言うと急に屈んだ

その上をレベッカの燃えてる魔本が飛んでゆく


「悪かったわね!メシマズで!」

「怒るこたぁねえだろ!同じパーティーで過ごすんだから何が得意で何が苦手なのか情報交換みたいなもんだろ!

つーか味方に武器で攻撃するってどうなのさ

いつもいつも瀕死になるまで攻撃しやがって」


「それは、デリカシーの無いお前が悪いだろ。」

そう焼けた肉を頬張りつつキースは、呆れたようにつっこむ


「そうよ!殺されてないだけマシだと思いなさい!」


「そう言うレベッカも、一応仲間なんだから攻撃魔法込めて本を投げるのやめるように。

シーフの居ないパーティー程危ない物は、無いからな。」


「一応ってなんだよ、冷たいな。」


「お前のギャグのような特性さえなければ今頃Aランクだったとしても過言じゃないんだよ。

 冒険者学校時代の俺に忠告したいよ、こんなのと組むなって。」


「あーあーそうですか悪うごぜえました

 どうせ簡単で嫌がらせ程度の罠にも引っかかる間抜けなシーフですよ〜

 悪うごぜえましたねぇ〜」


「皆さんケンカは、やめて下さい!

 ご飯抜きにしますよ!?」


そう言うとエリカは、焼いてる最中の残りの肉を片付け出した

「「「すいませんでした」」」

エリカにキース・ルース・レベッカの三人が綺麗に45°のお辞儀をして謝る

「私に謝ってもだめです

 ここ3日間で何回ケンカしてるんですか?

 言ってダメなら行動に移すしかないんです。

 分かっていただけるでしょうか?

 皆さんは、硬い干し肉でもかじっていて下さい

 もう知りません。」


そう言うとエリカは、自分の寝る予定だったテントの横に跳ね上がり式のテントを出しキース達とは反対側で焚き木に火をつけオーク肉を焼き食べ始めた


キース達は、お互いに気まずい顔をして焚き木にてらされている


「なんか・・・ごめん、干し肉たべる?」

キースが干し肉を3枚出すと

「ううん、私こそすぐカッとなって本を投げてごめん」


「おいらもすぐデリカシーの無い事を面白がって言ってごめん、簡単な罠くらいは、スキル使わなくても分かるように努力するよ。」


「ルースだけに罠を警戒させて責任をおっかぶせたは、俺の采配ミスだ。

 これからは、俺も罠の警戒をするから

 本当に、ごめん」


それぞれ謝った後キースから干し肉を受け取り三人は、齧り出した。

それは、いつもより少し塩辛かった。

 


「おーい、そろそろ明日の打ち合わせしないといけないから戻ってきてよ〜

 仲直りしたから〜

 ごめんねー」


そうレベッカが跳ね上げ式テントの入り口を開けてエリカを見ると


羊のようなふわふわな寝袋に包まるエリカが居た


「本当?またケンカし出さない?」


「大丈夫だってー

 もうしないから」


それを聞くとエリカは、もぞもぞと寝袋から出てキース達が囲んでいる焚き火の方へ、歩き出した。


「よし、じゃあ明日の打ち合わせするぞ。」

エリカ達が集まったことを視認するとキースは、立ち上がって話し出した。


「今回受けたクエストは、これから行くクオーレの眠る丘で出てくるホワイトリザード・ホワイトバジリスク・豹紋シロトカゲの3種類

 いずれも討伐依頼で素材は、必要無い

 モンスターを倒したあと出てくるモンスターカードさえ収集すれば良い。

 他に出てくるモンスターは、基本は、ザコ敵だが土地柄、光属性のモンスターが多い。

 爬虫類系のモンスターには、氷魔法が良く効くのだがエリカは、使えるか?」

 

「氷魔法は、持ってないですが水魔法を応用して広域を凍らせることは、出来ます。」

 

「わかった、それを頼む。

 必要無いとは、言ったが豹紋シロトカゲに関しては、皮が良い値で売れる。

 できれば収集したい。

 エリカ、さっき言ってた水魔法は、何回出せる?

 今、魔力は、何割のこってる?」


「ざっと50回くらい打てるでしょうか。

 魔力は、8割残っています。」


「それは、いい。

 俺もまだ弓もボウガンも使って無いからな

 余程の事が無い限り全滅は、無いとおもう。

  

 今回のダンジョンは、中心に向かって敵が強くなるフィールド型のダンジョンだ。

 罠の類は、余り無いと思うが気をつけて行こう。

 今回から前衛は、オレとルースで行く

 ルースは、前進しすぎないように。」


「わかったよ、よろしく頼むぜ。」

  

そうルースが言い終わるとエリカが手を上げた

「まだこの道中でキースさんが弓を使っている所を見ていないのですがどうしてなのでしょうか?

 あとさっきケンカしてたときルースさんが簡単で嫌がらせのような罠でも引っかかると聞いたのですが。」


「それが、このパーティーの特徴で欠点なんだ。

 エリカは、オレが草原で弓を使っているところ見た事あったよね?

 オレが使った後、弓は、どうなった?」

 

「壊れてましたけど、あれは、もう寿命だったのではないですか?」


「あれ!?エリカちゃんキースが弓を使った所を見たの!?」

すごくビックリした面持ちでレベッカが言った


「えっ?そんなに凄い事なんですか!?」


「凄いもなにも・・・コペンの街の冒険者の中では、有名な話なのよ!」


「私、まだコペンの街に来て日が浅いからよく知らないのです。

 キースさんと初めて臨時パーティーを組んだ時すんでの所で救われたんです。」


するとルースが大笑いして

「そいつは、スゲェ!

 かれこれもう3年以上弓を射ってないのに

 当たるのもスゲェけど、そもそもキースの手元に弓があったのがスゲェ!

 で?肝心の獲物は?何を倒した?」


「これが、確かあんときの獲物のモンスターカードだな」

キースは、いつも持ち歩いている背嚢から一枚のモンスターカードを取り出した

「ねくろ?ねくら?よく読めないなぁ、古代文字苦手なんだよ・・・」


「あーなんかやな予感するけど見せてみて?」

レベッカがキースからカードを受け取ると


「やっぱりやってたか」

レベッカが額に手を当ててやれやれといったふうにする


「このモンスターカードは、ネクロファズマね

 ランクSモンスターよ。

 御伽話に出てくるレベルのモンスターだわ。

  

 主に攻撃は、巨大な目玉がめくれてかじるだけなんだけど、攻撃する直前まで姿が見えないの。

 そして、かじった瞬間姿を消すから攻撃出来ないし

その場に居た人間の頭は、例外なく食われる。

容赦なく食われる。

 人里に現れたときに、その集落に首から上が無い死体だらけになるから存在してる事は、認知されているけど、狩られた事は、ない筈よ?」


「無自覚にこういう事するもんなぁキースは、やっぱりスゲェや。」

と、ルースが嬉しそうに笑いながら言った。


「とりあえずキースさんがスゲェは、分かりましたが肝心の弓を使わない理由がわかりません。」


「ああ、それな、話を戻すが。

 あの時の弓は、たぶんコペンの街の

 アトリエ シブアのAグレード

 弦は、ダイアモンド諸島の鯨の髭

 尚且つメンテナンス済み

 普通に中古で武器屋に置いてあったら金貨で買えないレベルの弓だと思う。

 

 それが壊れた

 ドラゴンが踏もうが王都の剣聖が叩き斬ろうが壊れない

 いや、壊れては、いけない弓だ

 ただ使い手は、熊にやられていた所を見ると実力に合ってない弓だったものの

 かなり良い弓であのまま壊れて無ければあのパーティは、あの弓を売って

 自分達で店を開くなりなんなりできた


 そんな弓が

 たった一撃で

 オシャカだ!


 もうわかったか?

 オレが弓を普段使い出来ない理由が」


「どんな弓でも一撃しか持たないと言うことですか?」


「その通りだ。

 ただし、俺は矢を外さない。

 狙った獲物は、死ぬ。

 ドラゴンであろうが、ガーゴイルだろうが関係ない

 いままでそれをやってきた。」


「キースは、本当にドラゴンやガーゴイルを殺ってきたからなぁ。

 冒険者学校時代に。」

 

「本当、いつもそれに付き合わされて今ここにいるって事なのよね。」

 

「なんでSランクにならないんですか?」

 

「まあ、色々あったのよ。

 本当に色々・・・」

レベッカが遠い目をしている。


「キースさんの弓は、わかりました。

 ルースさんが簡単な嫌がらせのような罠に引っかかるの意味を教えてください」


「ああ、わかった、おいらのことな?

 おいらのスキルに約束された成功ってスキルがあるのだけど。

 成功の内容がかなり曖昧でデタラメな物である事が最近になってようやく分かったんよ。

 おいら字が書けないのと読めないので冒険者カードのスキル欄を読めなくて。

 別に知らなくてもいっかーって思っていたんだけど。

 なにかおかしいぞっ?てんで、レベッカに読んでもらったわけ。

 成功の内容なのだけど要約すると、面白ければ成功みたいな事が小難しく書いてあったわけなんだなぁ。

 

 まあ、このスキルを早とちりしてキースは、冒険者学校時代においらと組みたがっていたわけだけどなぁ。


 そんな訳で、昔から、ダンジョンに潜れば金盥が降ってきて、水に流されたと思ったら入り口に戻り

 なにくそと再挑戦すれば大岩に追っかけられる。

 

 それがさっきケンカしていた内容さぁ。」


「ああ、なるほど、なんか今の説明で分かった気がします。

 因みにこれってキースさん達も巻き込まれてます?」

 

「「もちろん巻き込まれてる」わよ」

 キースとレベッカが揃って言う


「あっ、Sランクに行けない理由ってそれですか?」


「それもあるけど、それだけじゃないんだ・・・」

「その理由は、話すと夜がふけてしまうから話せないわ。」

「まあ、今回のクエストでは、関係ないかもなぁ〜」


そうキース・レベッカ・ルースが言うので、エリカも納得していないような顔をしていたが、

それ以上聞こうとしなかった。


「それじゃ、他に質問が無ければ終わりにする」

キースは、そう言うと自分のテントに戻って行く

ほかの面子もそれぞれテントに戻っていく。


 このテントや、焚き火の周りは、レベッカの魔本に魔除けの魔法が発動していて半径50mは、魔物や、害意のある者達から見えなくなる。

 その為、この3日間寝ずの番や交代で見張る等をしなくて済んでいるのであった。

 


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