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夢の中で
「よいツォっと」
人形が、椅子に座る。
気がついたら、周りは小洒落た喫茶店になっていた。
「あなたは誰?」
問いかけると、返って来たのは
「マツヒコでツ」
というとぼけた答え。
「そうじゃなくて……」
「まあ、座って」
「は、はい」
私は人形の向かいの席に座る。
「………ふむ」
「………」
ここは一体、どこなんだろうか
もしかして、夢なんじゃないだろうか。
そうだ、夢だ。
エイブに殺されたのだって、そもそもドーラに裏切られたのも、全部、全部夢だったんだ。
頭の片隅で、いつもそう、思っていたじゃないか。
そうであってくれと
ただの小娘だった私に、こんな展開はあり得ない。
そう、理解していたじゃないか。
「…………………あははははは……」
「夢じゃないです」
「……………は?」
「今の、この場所は確かに夢です。だけど、あなたが親友に裏切られて親友の恋人に殺されたことは、すべて現実です」