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次は、キルナ村。
「あ、あなたは…」
まだ、門の警備やってるのか。
「なんだよ。また身分証の提示が必要か?」
「す、すみません、殺さないでくださいー」
門番が頭を抱えてかがむ。
「なんで俺がお前を殺さなきゃいけないんだ」
「だって、あなた、本物の黄昏の魔法使いなんですよね。偽物の黄昏の魔法使いが、本物に退治されたって、有名な話しですよ!」
誰が言いふらしてるんだ。それ。
「それに、恋人が偽物に狙われたのが、ボクのせいだって、」
「あーもう、いいから黙れ」
ここでも恋人だって思われてたのか。
「恨んでないし、興味もない。俺は忘れっぽいし、黄昏の魔法使いでもない」
「でも」
「いいから復唱しろ」
「恨んでないんですか」
「ちゃんと、全部取り返したのか」
「はい!それはもう。上級市民の娘が駆け落ちっていう情報ですから!奪われていた村の娘はすべて帰ってきました!」
駆け落ちかよ。
まぁ、無理もないか。侍女も連れずに歩く令嬢なんていないだろう。
「ならいいだろ。全部丸く収まったんだし」
「あの、怒ってないんですか」
「なんで怒るんだ。お前は村を守ったんだから誇りに思えよ」
「でも、方法が…」
「方法が気に食わないなら、次は納得の行く方法で解決できるように、考えればいいだろ。いつ、また同じことが起こるかわからないぞ」
「もう二度と起きて欲しくないです」
「なら、また同じ方法で解決すればいい」
「それは…」
「嫌なら考えろ。村を守るのはお前一人の役目じゃない。村に住む全員の問題だ」
「はい」
「じゃあな」
「ありがとうございます!」
現金な奴だ。




