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ジャロの青年

 この日僕は訓練所のあるフロアに来ていた。基礎体力作りはもう十分であった。筋力ならおそらく怪我をする以前よりも付いているだろう。

 そこでそろそろ試合の勘を取り戻すために練習試合をしようとこの手合わせ部屋に来た。文字通り互いに武器を使って、模擬試合をするための部屋である。そこは一辺がおよそ200トーメナ〈メートル〉はある正方形の場所で、天井も100トーメナはあってかなり開放感がある。

 その四方はコンクリートの壁のままである。ペイントなどの装飾はしていない、というかする必要はない。天井に近い所はガラス張りになっているのだろうか光が差し込んでいたが、地上はうす暗くじめじめとしている。どことなくその雰囲気はアンフィの控室に似ていた。目の前では30組ほどが手合わせをしている。

 壁際にも武器を選んでいる人達がたくさんいる。様々な武器が両側の壁にずらっと並んでいて、剣と言ってもその形や大きさは様々で、さらに防具類までもしっかり揃えてあるので自分に合う組み合わせを選べる。ただしどれも木でできたものばかりであって、相手を傷つける目的ではない。

 僕は片手剣が並んでいるところへ行き、自分に合いそうな物を探した。2つほどにすぐに絞れたが、その中からどれにしようかしばらく決められなかった。一つはほとんど僕が持っているものと重さも大きさも同じでとても使い易そうで、もうひとつは全体的に一回り大きく、また普段使っているものよりも重かったが、以外にも手に馴染んで使ってみたいと思った。

 なかなか僕が決められずに迷っていると、隣に誰かが来た。

「手合いの相手は決まっているか?」

「……いや。まだ」

 僕は軽い方の片手剣を壁際に戻しながら相手を見た。僕よりも二つか三つくらい年が上で、背丈は1.8トーメナほどであった。しかし僕も1.75トーメナと年の割には背があるので、遠目から見れば年齢差があるようには見えない。

「お前のクラッセは何だ。暗くて足首のリングの色がよく見えない」

「……青色だよ。アッズさ」

「アッズ? なんだ。それじゃ他をあたるわ」

 男は軽く手を上げ、立ち去ろうとした。

「君のクラッセは何?」

 男は反転させた身体はそのままで、首だけ僕の方へ少し動かした。

「ジャロさ。……どうする? 稽古試合でもしてやろうか?」

 僕は彼の足首を見た。金属の輪っかの色がかすかに黄色を帯びているのがわかった。彼の言った通りジャロであった。クラッセは僕よりも二つ上だ。

「……普通でいいよ。手加減なしでお願い」

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