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第80話 制度の限界

 北方国境、第二報。


 小規模衝突発生。


 斥候部隊が交戦。


 死傷者、双方に数名。


 王宮に報告が届いたのは、合議会議中だった。


 室内の空気が凍る。


「挑発か」


 軍務卿が低く言う。


「それとも偶発か」


 情報は断片的。


 だが時間はない。


 第二王子が即座に言う。


「即応部隊前進」


「抑止線を越えぬ範囲で展開」


 速い。


 王太子は地図を見つめる。


「外交使節は」


「北方主侯は不在」


 逃げられている。


 レオンが言う。


「まだ全面侵攻ではない」


「だが誤射が連鎖すれば拡大する」


 沈黙。


 ここで三者合議。


 だが通信が乱れる。


 現地との連絡が不安定。


 判断の材料が揃わない。


 大公が言う。


「即断だ」


「三者一致を待つな」


 制度外の声。


 セラフィナは静かに言う。


「本件は王権領域」


 だが王は未確定。


 空白。


 空白が最も危険。


 数秒。


 重い沈黙。


 第二王子が言う。


「私が責任を取る」


 踏み出す気配。


 その瞬間。


「待ってください」


 リリアーナの声。


 全員の視線が向く。


「情報が欠けている」


「挑発に乗れば、北方の思う壺です」


「だが動かねば弱い」


 軍務卿の声。


「限定的前進命令を」


 レオンが言う。


「即応部隊は前進準備済み」


「だが実際の越境は現地司令に委任」


 王太子が顔を上げる。


「現地判断か」


「はい」


「王宮判断では遅い」


 制度を一段下げる。


 中央ではなく現場へ。


 第二王子は一瞬だけ考え、


「合理的だ」


 合議。


 最終決定。


 現地司令に限定裁量を与える。


 中央は全面戦命令を出さない。


 数刻後。


 報告。


 現地司令は越境せず。


 防御線維持。


 衝突は拡大せず。


 室内に、わずかな安堵。


 だが。


 軍部の一部は不満を隠さない。


「弱腰だ」


 第二王子は静かに言う。


「今は勝った」


 レオンは低く答える。


「だが北方は次を試す」


 夜。


 回廊。


 リリアーナは壁に手をつく。


 制度は守られた。


 だがギリギリ。


「限界ですね」


 レオンが言う。


「はい」


「三者合議は速度に欠ける」


「だが単独即断は危険」


 矛盾。


 制度は万能ではない。


 王もまた。


 遠くで鐘が鳴る。


 北方の圧は続く。


 そして。


 評議会の基準は、もはや理論ではなく


 国家の命運に直結し始めた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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