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第72話 血統と評価

 王位継承評議会、第一回公開評価。


 円卓室の空気は、前回よりも重い。


 本日は候補者出席。


 最初に呼ばれたのは――王太子。


 扉が開く。


 静かな足取り。


 視線は揺れていない。


 セラフィナが告げる。


「本日は財政理解度および制度遵守適合率を評価します」


 机上に資料が並ぶ。


 過去五年の財政報告。

 決裁履歴。

 公開監査結果。


 マルコが口を開く。


「北方防備費再配分の判断根拠を説明していただきたい」


 王太子は即答する。


「北方演習拡大に対する抑止的配置」


「予備費移動は臨時措置」


 説明は的確。


 財務卿が頷く。


 だが。


 セラフィナが静かに問う。


「理由記載の簡略化はなぜ起きたか」


 一瞬の沈黙。


 逃げられない。


「私の確認不足」


 はっきりと言う。


「迅速処理を優先した」


「結果として説明責任が弱まった」


 室内に、わずかな空気の変化。


 言い訳はない。


 責任転嫁もない。


 大公が問う。


「同様の状況が再び起きた場合」


「記載を優先する」


 即答。


「速度は制度で補う」


 セラフィナの視線が鋭くなる。


「速度を落としてもか」


「持続を損なう速度は不要」


 静かな断言。


 リリアーナは無表情のまま記録を取る。


 財政理解度は高評価。


 制度遵守適合率は――中上。


 大きな失点はない。


 だが圧倒的でもない。


 続いて、第二王子が呼ばれる。


 穏やかな微笑。


「財政報告は北方でも拝見していました」


 説明は簡潔。


 余計な言葉がない。


 軍事演習に絡む資金配分案も提示。


 軍務卿がわずかに頷く。


 だが。


 セラフィナが問う。


「制度遵守について」


「公開監査体制をどう評価するか」


 第二王子は一瞬だけ考え、


「合理的だ」


「だが危機時は制限を外すべき」


 大公の目が動く。


「制限とは」


「公開範囲の縮小」


 静かな爆弾。


 透明性の制限。


 合理的。


 だがリスクもある。


 マルコが言う。


「連盟は透明性を重視する」


「危機こそ公開だ」


 第二王子は微笑む。


「国家存亡時に公開は武器になる」


 論理は鋭い。


 だが危うい。


 評価は――高いが、安定性に疑問符。


 最後に、レオン。


「私は候補ではない」


 前置き。


 だが呼ばれた以上、答える。


 財政理解は実務的。


 軍事判断は圧倒的。


 制度遵守は――高水準。


 理由は明確。


「私は制度の中で動く」


 短い。


 飾らない。


 だが。


 セラフィナが問う。


「王位を望むか」


 沈黙。


「望まない」


「だが必要なら逃げない」


 重い。


 円卓室に緊張が走る。


 第一回評価は終了。


 総合暫定。


 王太子:安定型

 第二王子:戦略型

 レオン:実務最適型


 決定打はない。


 回廊。


 王太子は深く息を吐く。


「……点数を付けられるとは」


 苦笑。


 第二王子は肩をすくめる。


「舞台は整った」


 レオンは無言。


 制度設計監査室へ戻る途中。


 セラフィナが言う。


「あなたは冷静すぎる」


「そうでしょうか」


「誰かが落ちれば、あなたも揺れる」


 鋭い指摘。


 リリアーナは立ち止まらない。


「揺れても、整えます」


 だが。


 初回評価で明確になった。


 三者三様。


 誰も決定的ではない。


 そして。


 基準は、これからさらに厳しくなる。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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