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第70話 連盟の条件

 南方交易都市連盟の視察団は、三日後に王宮へ到着した。


 六都市の代表。


 商人であり、政治家であり、投資家でもある者たち。


 彼らの関心は一つ。


 安定。


 大広間にて、形式的な歓迎が終わる。


 代表の一人、マルコ・ディ・セラーノが口を開いた。


「我々は制度設計監査体制を高く評価する」


 穏やかな声。


「だが、評価は制度だけでは完結しない」


 視線が、王太子へ向く。


「継承の安定も、また信用の一部だ」


 室内の空気が張り詰める。


 王位の話を、外が持ち出した。


「我々は長期投資を行う」


「十年単位だ」


「ゆえに問う」


 ゆっくりと。


「次代の王は、誰か」


 直球。


 逃げ道はない。


 王太子は静かに答える。


「継承順位は明確だ」


「だが揺らぎがある」


 マルコは淡々と言う。


「軍部の声」


「第二王子の帰還」


「公開監査体制」


「これは強みだが、同時に不確定要素だ」


 合理的。


 冷酷ではない。


 だが容赦がない。


 レオンは沈黙する。


 第二王子は微笑んだまま。


 大公は目を閉じている。


「我々の条件は単純だ」


 マルコが続ける。


「王位問題を制度として安定させよ」


「個人の資質ではなく」


「構造で保証せよ」


 静寂。


 それは難題だった。


 王位は血統。


 だが連盟は構造を求める。


 夕刻。


 制度設計監査室。


「継承を制度化する、ですか」


 ルークが呟く。


「前例はありません」


「だが可能です」


 リリアーナは即答する。


「王位継承評議会の設置」


「透明な資格基準」


「即位前評価制度」


 大胆だ。


 王権に触れる。


 夜。


 王太子が訪れる。


「連盟の条件は聞いた」


「はい」


「お前ならどうする」


 以前とは違う問い。


 答えを求めているのではない。


 共に考える姿勢。


「制度化します」


 即答。


「王位は血統」


「だが即位資格は評価可能です」


 王太子は、静かに息を吐く。


「それは、私を試す制度になる」


「はい」


 迷いなく。


「怖くないのか」


「怖いです」


「だが、持続します」


 沈黙。


 レオンも、第二王子も呼ばれる。


 四人が並ぶ。


 初めて。


 王太子。

 レオン。

 第二王子。

 そして制度設計監査室長。


「継承評議会を設ける」


 王太子が言う。


「即位前評価を公開」


「私も、弟も、例外ではない」


 第二王子が笑う。


「面白い」


 レオンは低く言う。


「私は候補ではない」


「だが、評価から逃げはしない」


 四角構造が、制度の上に乗る。


 連盟はそれを聞き、静かに頷く。


「構造があるなら、投資は続ける」


 条件付き支持。


 玉座は、もはや家族の問題ではない。


 国家の構造。


 国際信用。


 全てが絡み合う。


 夜。


 回廊で、第二王子が言う。


「兄上は強くなった」


「だが、私は負ける気はない」


 笑みは穏やか。


 だが目は本気。


 レオンは静かに言う。


「私は王ではない」


 だが。


 軍部の声は止まらない。


 リリアーナは、静かに息を吐く。


 選択の時は近い。


 玉座は揺れている。


 だが今、


 その揺れは制度の中に封じ込められようとしていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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