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第7話|参照だけの権限

朝、共有フォルダの構成が少し変わっていた。

新しいディレクトリが一つ増えている。


名称は簡潔で、「参照用」とだけ書かれていた。


開くと、いくつかのファイルが並んでいる。

いずれも最近処理された案件に関連するものだった。


閲覧はできる。

検索もできる。

だが編集、コメント、複製の項目はすべて無効化されている。


権限欄には「参照のみ」と表示されていた。

付与者は記録されていない。


彼は一つのファイルを開き、

画面の下部までスクロールした。

最後の行には、更新日時だけが残っている。


誰が更新したのかは分からない。

更新理由も書かれていない。


昼過ぎ、別の案件を処理している最中に、

その参照用フォルダへのアクセスが自動で記録された。


自分で開いた記憶はなかった。


ログには、

「業務上の確認として妥当」とだけ注記されている。


夕方、フォルダ内のファイルが一つ増えていた。

通知はない。

増えたことを知らせる仕組みもない。


彼は一度、権限申請の画面を開いた。

申請対象の一覧に、そのフォルダは表示されなかった。


定時が近づき、

参照履歴はまとめて「確認済み」として処理された。


彼は端末を閉じた。

関与していないはずの情報を、

関与した形跡だけが残している。


帰り際、

参照用フォルダはいつの間にか、

いつもの場所に溶け込んで見えなくなっていた。


名前だけは、

まだ覚えていた。

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