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第4話|ログの整合性
朝、端末を開くと、昨日処理したはずのログに未確認のフラグが立っていた。
赤でも黄色でもなく、薄い灰色。
通知音は鳴っていない。
内容を開いても、差分は見当たらない。
時刻、署名、参照先。すべて合っている。
ただ、末尾に一行だけ、記録者不明の注記が残っていた。
確認は完了しているが、完了と断定した主体は存在しない。
エラーではない。
警告でもない。
処理を止める理由も、進める理由も書かれていなかった。
彼は一度ログを閉じ、再度開いた。
注記は消えていない。
更新履歴にも残らない。
昼休み、同僚に聞こうとして、やめた。
説明すると、説明したという事実だけが増える気がした。
夕方、定時処理が自動で走り、
そのログは「整合済み」としてアーカイブに送られた。
フラグは、最後まで灰色のままだった。
彼は帰宅前に、端末の同期を切った。
何も解決していないが、業務は終わっている。
その日のログ数は、帳尻が合っていた。




