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第33話|補正の基準

朝、起動時の通知は表示されなかった。

昨日と同じ画面が開く。

違いは見当たらない。


彼は処理一覧を眺める。

適合率は安定している。

例外件数も変わらない。


午前中、ひとつの案件で

わずかに条件から外れた数値が入力された。

以前であれば確認が必要だった範囲だ。


だが画面は静かなままだった。

自動的に数値は丸められ、

基準内に収まっている。


ログには

「補正済」とだけ表示される。


誰が基準を決めたのか、

いつ更新されたのかは示されない。


昼過ぎ、新しい担当者が

「これで合ってますよね」と言う。

彼は画面を見て、

「合っている」と答える。


午後、基準文書を開く。

許容範囲の表が簡略化され、

境界線が一本消えている。


削除された範囲が

どこに吸収されたのかは書かれていない。


夕方、ログを再確認する。

全件が適合。

補正件数は集計されていない。


定時、端末を閉じる。


違和感は発生しなかった。

発生しなかったことが、

基準になっている。

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