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8話 学舎

 晴れ渡ったある日の午後、突如、学院の上に黒い渦が現れた。学生も教職員たちもその黒い雲の不気味さに叫び声を上げながら学院の建物の中に逃げ込んだ。いったいなんなのだろう。誰もが見た事のない大きさ、威力で学院の外の木々は大きく揺れ、物が吹き飛んでいく。


 ノーマンはこれが災いだと直感し、早く青年を探さなければ…と大風の中に飛び出して行った。


 黒い雲はどんどん大きくなり、学院の中に強い風を吹き込んできた。学院長も固く扉を閉め身を守っていたが、学院長の部屋の窓が割れる音がした。彼は驚いて学院長の部屋の方を振り返ると、学院長の叫び声と共に雲の中に吸い込まれていくのが見えた。だが、黒い雲はまだ大きくなり続けている。この雲がこれ以上大きくなれば、生徒にまで被害が及ぶかもしれない。青年を早く探さなければならないと、とにかく走った。彼は腕の「刻印」を目印に青年を探した。


 一人の青年が黒い渦の災いを見上げて立っていた。もしかしたら…と思い、声をかけようとすると、青年の方が先にノーマンの方を見て「ありがとう、見つけてくれて。」と言った。その時、大風は青年の羽織ったマントを吹き上げた。青年の腕にははっきりとした刻印があり、端正で美しい青年の横顔が表れた。やっぱり…。その青年こそ、彼がずっと探していた人だった。


 青年はすぐに災いの方に走り出して行った。彼にはその後ろ姿を見送るしかできなかった。途中、青年は振り返って何か叫んだようだが、風の音でその声はかき消されてしまった。


 青年の手から放たれる虹色の光。ノーマンは過去にもっと小さな虹色の光を目にしたことがあった。そして今、虹色の大きな光が何度も黒い災いを覆い尽くそうとするが、また黒い災いが力を取り戻す。大きな虹色の光の中、ぼんやりと青年が災いの風で傷つきながらも立ち向かっているのが見えた。ノーマンはただただ、どうか…無事で…と青年の無事を祈った。どれほど時間が過ぎただろう。大きな虹色の光がようやく黒い雲の渦を包み込むと、災いがなかったかのように静寂が戻った。

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