3話 暗示
ノーマンは預言を信じてはいなかった。きっとこの預言は誰かがいたずらで書いたものだろうと思った。預言書には元々預言が書かれていなかった事を知っていたのだ。そして毎日、誰かがいたずらで触れているのではないかと図書館の椅子に座り、近寄る人物がいないかを見ていた。でも誰もその本棚に近づくものはなく、というより誰もその本棚に気づいていないようだった。そして、図書館の閉館前に必ず、預言書を確認した。 今日も、預言書は同じ内容だった。至極当然なのだが…。自分はいったい何を確認しているのだろうと、自分に呆れた。
彼は図書館を出ると歩きながら考え込んでいた。一人の青年を探す。もしかしたら…。彼にはずっと探している青年がいた。それなら、自分が導く者と言っているのだろうか?自分が誰かを探しいているなんて、誰にも話した覚えはない。いや、単なる偶然だろう。空白のはずの預言書に書かれた預言、そこに書かれた導く者が自分に合致した偶然によって、まるで自分が導く者とする暗示にかかっているのだと思った。
この預言書を作った人物こそ、彼がずっと探している青年だった。だから預言書が元々は空白だったことも知っていた。偶然が重なりすぎている。もしかしたら、悪戯であってもこの預言を書いた人を探せば青年を探す手掛かりになる、やっと会えるかもしれないと思った。一方、あの埃に塗れた様子から誰かが触れたとは考えにくかった。それなら誰が?自然に?預言が現れるなんて非科学的だとその考えを自分自身で否定した。
ノーマンの頭の中で、預言の一行目がずっと繰り返されていた。




