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2話 学院

 王立高等学院はこの国の優秀な人材を平等に求め、国の行政に関わる人材を育てるという理念の下、500年前に設立された学院である。国の機関と言っていい程の権威が与えられていた。その学院への入学、卒業は学生にとって未来が保障されたも同然だった。 貴族の子も、町人の子も、農民の子も、その才覚があれば入学ができたため、この国の子供達の憧れの的であり、だからこそ入学については厳格に行われているはずだった。


 この年、ノーマンがこの学院の入学試験を採点していると、ほぼ完璧、学院が求める以上の知的考察も行われている答案に出会った。知的なだけではなく、この受験生の優しさや温かさまでもが感じられる回答だった。彼はその答案に最高の評価点を出した。ところが、後日の合格発表ではその受験生は試験に落ちていた。彼は腑に落ちなかった。学院長の部屋に赴き、なぜ完璧だった答案を書いた受験生を試験に落としたのかをたずねると学院長は「そんな事は、当たり前だよ。女で、家が貧乏だからだよ。」。その言葉を聞いて、愕然とした。この学院の理念を蔑ろにしている人物がこの学院の最高権力の座に座り、なんの後ろめたさも感じていない様子で不合格にした理由を言ってのけたのだ。この瞬間、彼はこの学院は腐ってると思ったが、今回の決定を覆す力は自分にはない。ただ悶々と日々を過ごしていた時、その受験生が自殺したというニュースを新聞で知る事になった。彼は居た堪れなかった。自分にもっと何かできたのではないか、そう昔のように、ただ後悔が繰り返された。


 彼はその時から一層、他の学生や教師と距離を置くようになり、一人で図書館に籠った。

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