この人殺し!
「この人殺し!」
ぼくのみみにはたしかにそうきこえた。
そうだ、ぼくはひとごろしだ。なぜなら、ぼくはぼくをころしたからだ。
ぼくはずっとふかいふかい、くらくてふかいうみのそこにしずんでいる。ぼくのたましいはそこからぬけだすことはできない。ぼくがそうさせているからだ。
ぼくのたましいだ。ぼくがどうこうしようがほかのやつらにはかんけいない。
ぼくはひとごろしだ。ぼくはぼくのたましいをころした。もう、なにもできないえたいのしれないからだは、ない。たましいがないのだから。
ぼくはふとんのなかで想像する。ぼくのたましいがいつかじゆうになり、くらくてふかいふかいうみのそこからはいあがってくることを。ははは。そうはさせるか。ぼくはひとごろしだ。
ぼくはしんだ。
生きているのに死んでいる。そんな繊細で感傷的になる時期がありました。