表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/52

第7話 クリーン魔法

 娼館から連れて来られたのは七人。ミルシーヌさんが誰かはわからないが、誰もが痩せ細り、腕や顔に痣が出ていた。


「梅毒か?」


 その辺の知識がないんでわからんが、回復薬で症状は和らいでいるはず。こんなになっても体を売らなくちゃならないとか地獄だな。


「ばーちゃん。皆の顔を拭いてあげて。あと、終わったら回復薬を飲んでおいてね。触ったくらいで移る病気じゃないと思うけど、念のためにね」


「ラクレカは病気にも詳しいのかい?」


「一般常識程度にしか知らないよ。この世界が違うと病気も変わってくるからね」


 前の世界でもよくわからん病気があった。回復薬で治したからどんな病気だったか知らんけどな。


「大丈夫。このくらいなら治せるから」


 不安そうにしている女性陣に声をかけ、もう一台に向かった。


 こちらもこちらで痩せ細っている。これでよく抱こうと思うよな。ここの男はそんなに飢えてんのか? これじゃ男のほうだって梅毒に冒されてんだろう。


「まずは清潔にするために体を拭くから」


 前の世界ではたくさんお世話になったお陰で女に抵抗力はある。てか、こんな姿では心のマイサンも萎えるってものだ。


「……ありがとう……」


「どう致しまして。今は出発するまでの我慢して。人目がなくなったら病気は完全に治してあげるから」


 褐色の肌が多い中で白い肌をした女性に礼を言われてしまった。


「言葉がわかるの!?」


「え? わかるけど? 不思議な言葉だったの?」


 普通に「ありがとう」って聞こえたけど。


「あなた、ルー王国の出身なの?」


 また新しい国名が出て来たな。ここはたくさんの国があるのか?


「ううん。この町で生まれてこの年齢まで育ったよ。とても見た目とおりの口調ではないけどさ」


 四、五歳の子供が流暢にしゃべってたら怪しさ千パーセントだわな。でも、これ以上幼くなんてしゃべれねーんだよ! これが限界なんだよ! そうなんでちゅ~とか言ったら確実に吐血する自信があるわ!


「おねーさんはそのルー王国の人なの?」


「……ええ。馬盗賊に捕まって売られたの……」


「それはお気の毒に。理不尽に負けず生きてちょうだよ」


 生きた先に幸せがあるか誰にもわからないが、死んだ先にだって幸せがあるかもわからない。オレのように新たな世界に放り出されることだってある。


「……本当にその歳なの……?」


「オレは神の御子ってヤツらしいよ。知ってる?」


「え、ええ。本当に存在してたのね……」


 駆除員にさせられたかわからんが、何千人とはいないだろう。精々、百人とか二百人だろう。その数がこの世界に転生したところでたかが知れている。ウワサに上がるくらいだろうよ。

 

「内緒だよ。それがバレると困るからこの隊商のお世話になったんだからさ」


 隠そうと思っても隠しきれないものがある。気づくものはすぐ気づいてしまうだろうよ。なら、黙っててもらうようお願いするのがいいだろうよ。


「え、ええ。黙っているわ。ルー王国の言葉を知らない人ばかりだから言いたくてもしゃべれないけどね……」


 確かに。言葉が通じないのも大変だ。オレはクソ女に言葉の壁を取り払われたから苦労した……ことはあったな。しゃべれるからって意志疎通ができるとは限らないからな……。


「なにかあればぼくに言ってくれて構わないよ。たぶん、ぼくも馬車に乗るだろうからね」


 体を拭いてやりながら女性陣に声をかけて行き、終わったら馬車から出た。

 

「ばーちゃんのほうも終わり?」


「ああ。汚れたものを洗いに行くよ」


 やはり女性は気が効く。男のオレにはそんなこと気づきもしなかったよ。


 すぐに馬車に戻り、汚れものを集めて井戸に向かった。


「隊商共有の盥があるそうだよ。石鹸は各自で用意するみたいだけどね」


 石鹸とかあるんだ。


 魔力はまだあるので石鹸──を創り出す必要もなかったわ。


 すっかり忘れていたが、クリーンって魔法を創り出していたんだったわ。他にも覚えさせて任せていたから忘れてたわ。


「ばーちゃん。魔力があるから魔法で綺麗にするよ」


「魔法で?」


 人目につかないように汚れものを綺麗にさせた。


「はぁー。便利だね~」


「洗濯している暇がなかったからね。魔法で綺麗にさせる魔法を創り出したんだ」


 魔力を使うから乱発はできないから環境に優しい洗剤を創り出すか。たった一年で魔法に依存してたんだな、オレって……。


 全員分の汚れものはクリーンできたが、さすがに魔力を使いすぎた。あとはばーちゃんに任せて休ませてもらおう。


「ちょっと隙間を借りるね」


 荷台は女性陣で占められているが、地面の上で眠るのは勘弁して欲しい。薄くても御座が敷かれているところで眠らせてください。


「どうかしたの?」


 ルー王国の人が声をかけてきた。


「ちょっと疲れただけ。少し眠れば大丈夫」


 まだ体が出来上がってないからか、疲労感が凄い。体が冷えてきてるよ。


「そこの布、借りるね」


「寒いの?」


「ちょっとね。少し眠れば温かくなるから必要なら取ってくれて構わないから」


 治癒能力は魔力回復も上昇させてくれる。一時間も眠れば回復するだろうよ。お休みなさい。


 すぐに眠りへと落ちて行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ